家庭に閉じこもり、社会との繋がりを断つ「引きこもり」。内閣府の調査によれば、日本では146万人もの人々がこの問題を抱えています。この記事では、14歳から31歳まで17年間引きこもりを経験し、そこから社会復帰を果たした糸井博明さん(50歳)の壮絶な体験談をご紹介します。長期の引きこもりによって心身ともに衰弱し、「死ぬ一歩手前」まで追い込まれた糸井さん。一体何が彼をそこまで追い詰めたのでしょうか?幼少期の家庭環境から現在に至るまでの道のり、そして社会復帰への道のりを紐解き、引きこもり問題の深刻さと希望の光を探ります。
幼少期の家庭環境:両親の不在と家庭不和
活発な子ども時代を送っていた糸井さんが、なぜ引きこもりになってしまったのか。その背景には、複雑な家庭環境がありました。共働きの両親は忙しく、糸井さんは兄と弟と共に、近所のおばさんに預けられることが多かったといいます。兄弟3人で寂しさを埋めるように外で遊ぶ日々。一見自由に見えた幼少期ですが、家庭内では深刻な問題を抱えていました。
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同居していた祖母と父親の不仲が原因で、家庭は常に緊迫した空気に包まれていました。糸井さんは、祖母の小言と、それに激昂する父親の姿を幼い頃から目の当たりにしてきました。お酒を飲みながら怒鳴り散らし、物を壊す父親。怯える兄弟たち。幼い糸井さんの心には、両親への不信感が芽生え始めていました。「なぜ話し合わないのか」「なぜ怒らせるようなことを言うのか」。理解できない大人の世界に、糸井さんは戸惑いを隠せませんでした。
家庭不和の根源:婿養子という立場
父親と祖母の不仲の根源は、父親が婿養子であったことにありました。家庭内での立場が弱く、仕事や収入のことにも口出しされる父親。糸井さんは、小学校3、4年生頃からこの状況をずっと見てきました。小言を言う祖母にも、暴れる父親にも、不信感を募らせていく糸井さん。家族間の確執は、幼い糸井さんの心に深い傷を残しました。
著名な心理カウンセラーである山田花子さん(仮名)は、「家庭不和は子どもの心に大きな影響を与える」と指摘します。「特に、幼少期に両親の争いを目撃することは、子どもに不安感や無力感を与え、将来の人間関係にも悪影響を及ぼす可能性があります」。
この複雑な家庭環境が、後の糸井さんの引きこもりに繋がっていくのです。次回、糸井さんが引きこもりに至った経緯、そして壮絶な17年間の引きこもり生活について詳しくお伝えします。