マイナンバーカード保険証への移行に伴い、現場では混乱が生じています。2024年12月2日に従来の保険証が廃止され、マイナンバーカード保険証が導入されましたが、利用率は未だ低迷しており、多くの国民が不安を抱えています。本記事では、マイナンバーカード保険証をめぐる現状と、自治体の対応、そして「裏保険証」と呼ばれる「資格確認書」の実態について解説します。
マイナンバーカード保険証、現場の混乱と課題
医療現場では、マイナンバーカード保険証の利用に際し、様々なトラブルが発生しています。全国保険医団体連合会の調査によると、2024年5月以降、医療機関の7割がマイナンバーカード保険証関連のトラブルを経験しています。資格情報の無効、カードリーダーの接続不良、該当被保険者番号の欠落など、システムの根幹に関わる問題が多く報告されています。
医療機関でのマイナンバーカードリーダー
これらのトラブルにより、診療を受けられないまま帰宅する患者も出ており、中には心筋梗塞で亡くなったケースも報告されています。デジタル大臣は「慣れればトラブルは減る」と発言していますが、現状を見る限り、システムの改善が急務と言えるでしょう。
自治体の負担増と「裏保険証」の登場
マイナンバーカード保険証のトラブル対応策として、「資格確認書」と「資格情報のお知らせ」という2種類の紙のカードが発行されています。しかし、この2種類のカード発行は自治体にとって大きな負担となっています。
従来の保険証は1種類のみの発行で済みましたが、マイナンバーカード保険証の導入により、マイナンバーカードの有無、電子証明書の有効期限、カードの紛失状況など、個々の状況を確認した上でカードを発行する必要が生じました。
自治体の窓口業務
財政難や人手不足に悩む自治体にとって、この作業は大きな負担となっています。そこで、一部の自治体では、2種類のカード発行を断念し、全員に「資格確認書」を配布する動きが出ています。この「資格確認書」は、事実上の「裏保険証」として機能しており、従来の保険証とほぼ同じ内容が記載されています。
「裏保険証」で保険証廃止の影響は軽減されるか?
「資格確認書」の配布により、保険証廃止による影響は一定程度軽減されると考えられます。しかし、根本的な問題解決には、マイナンバーカードシステムの安定化と、国民への丁寧な説明が必要です。
医療行政に詳しい専門家、山田健太郎氏(仮名)は、「資格確認書は一時的な解決策に過ぎない。真の課題は、マイナンバーカードシステムの信頼回復と、国民の不安解消にある」と指摘しています。
今後、マイナンバーカード保険証が円滑に運用されるためには、システムの改善だけでなく、国民への周知徹底も必要不可欠です。