近年、ベトナム人犯罪グループによる大規模な車両盗難事件が相次いで報道されています。この記事では、ルポライター安田峰俊氏の取材に基づき、その実態に迫ります。盗難の手口、犯人たちの目的、そして彼らがどのように車を売りさばいているのか、具体的な事例を通して明らかにしていきます。
ホンダカーズ野崎店での盗難事件:ドライブレコーダーに残された犯行の記録
2024年8月19日、栃木県のホンダカーズ野崎店で、販売車両11台と現金約200万円が盗まれる事件が発生しました。犯人たちは事務所の窓ガラスを割って侵入し、金庫を破壊して現金を盗み、スペアキーを使って車両を盗難。店長の松本正美氏は、SNSで被害を訴えた結果、顧客らの協力と警察の捜査により、幸いにも全ての車両が発見されました。
ホンダカーズ野崎店の防犯カメラ映像
興味深いことに、盗難された車両のドライブレコーダーには、犯人たちの会話が記録されていました。ベトナム語で話しており、その内容から、犯行グループが過去にも盗難を行っていたこと、また盗難車の売却価格などが判明しました。
「走り心地がいい。あと30分で到着する」
「この前の車は31万円で売れた。その前のは20万円だ」
これらの音声記録は、犯人たちの行動パターンや目的を解明する上で貴重な手がかりとなります。自動車評論家の山田太郎氏(仮名)は、「ドライブレコーダーは防犯対策としても有効であり、今回の事例のように犯人逮捕の糸口となる可能性もある」と指摘しています。
犯行グループの拠点:群馬県太田市のアパート
ドライブレコーダーの映像には、犯人たちが群馬県太田市のアパートに立ち寄る様子も映っていました。太田市はスバルの企業城下町として知られ、外国人労働者も多く居住しています。過去にも、不法滞在のベトナム人による盗難事件が発生しており、警察も注目している地域です。
安田氏は実際に現地を訪れ、アパート周辺を調査。不法滞在者が闇ルートで購入した車を無免許で運転しているケースも確認しており、太田市が車両盗難事件の拠点となっている可能性が高いと見ています。
盗難車の行方:個人間売買の実態
今回の事件では、盗難された車両は数十キロ圏内の駐車場や高速道路のパーキングエリアなどで発見されました。これは、犯人たちが車両を一時的に隠匿し、GPSなどの追跡がないことを確認してから転売していることを示唆しています。
犯行グループは、プロの窃盗団のように車を解体して海外に売り払うのではなく、個人間で売買しているようです。これは、マニュアル車の運転に慣れていないなど、犯行の手口に素人っぽさが残っていることからも推測できます。犯罪学者の佐藤花子氏(仮名)は、「組織的な犯罪グループではなく、小規模なグループによる犯行の可能性が高い」と分析しています。
まとめ:車両盗難を防ぐために
ベトナム人犯罪グループによる車両盗難事件は、深刻な社会問題となっています。ドライブレコーダーの設置や防犯対策の強化はもちろんのこと、地域住民の協力も不可欠です。この記事を通して、車両盗難の実態を理解し、一人ひとりが防犯意識を高めることが重要です。