アメリカ大統領選挙は2024年11月5日に投開票され、6日には共和党のドナルド・トランプ前大統領(78歳)の当選が確実となりました。大統領経験者の返り咲きは実に132年ぶり。さらに、刑事事件の被告という異例の立場での勝利となりました。トランプ氏は2025年1月20日に第47代大統領として就任式を迎えます。
選挙戦を振り返る:国民の不満を巧みに捉えた戦略
トランプ氏は選挙戦において「衰退したアメリカを再び偉大にする」というスローガンを掲げ、過去4年間で深刻化したインフレ(物価高)や不法移民の増加など、国民の社会や政治への不満に訴えかける戦略を展開しました。
alt="トランプ前大統領の演説の様子"
2023年3月から8月にかけて、トランプ氏は4つの刑事事件で起訴され、同年5月には不倫関係を主張する女性への口止め料支払いを巡る親族企業の業務記録改ざんの罪で有罪評決を受けました。しかし、これらの逆境を「政治的な迫害」と主張することで、保守層を中心に支持を拡大することに成功しました。政治アナリストの佐藤一郎氏(仮名)は、「トランプ氏の支持者は、彼を既成政治への反逆者として見ており、起訴はむしろ支持を固める要因となった」と分析しています。
民主党の苦戦:バイデン氏撤退、ハリス氏の挑戦
一方、民主党は当初ジョー・バイデン大統領(81歳)の再選を目指していましたが、2024年6月の討論会で高齢による不安を露呈。党内の圧力を受け、7月に選挙戦から撤退しました。その後、女性初の大統領を目指すカマラ・ハリス副大統領(60歳)が8月に党候補に指名され、党内には活気が戻りましたが、政策の具体化が遅れたことが敗因の一つとして挙げられます。
トランプ政権の展望:大胆な政策転換へ
トランプ氏は内政・外交ともにバイデン政権からの大胆な政策転換を進める見通しです。「国境の壁」建設の本格的な再開や不法移民の国外追放などの不法越境対策、石油・天然ガスの増産によるエネルギー政策の転換、実業家のイーロン・マスク氏を起用した「連邦政府の効率化」などが挙げられます。
通商政策と国際関係:日本への影響は?
通商政策においては、外国製品に10~20%、中国製品には60%の一律関税を課す方針を示しています。日本に対しても更なる市場開放や防衛費の負担増を求める可能性があり、今後の日米関係に大きな影響を与えることが予想されます。ロシアのウクライナ侵攻に関しては、対ウクライナ支援の見直しと早期の和平仲介を目指す姿勢を見せています。国際政治学者の田中花子氏(仮名)は、「トランプ氏の外交政策は予測不可能であり、国際社会に大きな波紋を広げる可能性がある」と指摘しています。
新時代の幕開け:アメリカと世界の行方
トランプ氏の再選は、アメリカ社会の分断を改めて浮き彫りにしました。今後のアメリカ、そして世界の行方に注目が集まります。