今年、メディアやSNSを賑わせたキャラクターといえば、香港生まれのポップな妖精「LABUBU(ラブブ)」と、大阪・関西万博の公式キャラクター「ミャクミャク」ではないでしょうか。10月には、これら2体がコラボした限定フィギュアが発売され、万博会場での抽選倍率は700倍にも達しました。現在もフリマサイトでは高額転売が相次ぎ、その入手困難な希少性が大きな話題となっています。しかし、SNSで巻き起こる「ラブブブーム」や「ミャクミャクブーム」は、実際にZ世代(10代・20代)の熱量を反映しているのでしょうか。我々は、Z世代の女性300人を対象に緊急アンケートを実施し、その実態を探りました。
「ラブブ」ブームの衝撃:SNSの熱狂はZ世代に届かず?
まず結論からお伝えすると、「ラブブ」が「一番好き」と回答した人は、300人中わずか1人という驚くべき結果でした。「可愛い」「好き」といった好意的な印象を持つ人は全体の約8%に過ぎず、半数近くの約50%が「知らない・興味がない」と回答。さらに、「可愛くない」「顔が怖い」「苦手」「嫌い」といったマイナスな感情を抱いている人が約23%に上ることが判明しました。SNS上では「夜見ると怖い」「ホラー映画に出てきそう」といった声も散見され、「毒気」のあるキャラクターデザインへの抵抗感がうかがえます。
ラブブは、香港のアーティストKasing Lung氏が手掛け、中国が拠点の玩具メーカーPOP MARTの主力商品です。ギザギザの歯と悪魔のような角を持つ「妖精」という設定で、「可愛さと毒気の融合」が海外や一部の層に熱狂的に受け入れられました。韓国の人気ガールズグループBLACKPINKのリサがSNSで紹介したことをきっかけに、爆発的なヒットを記録しています。
人気を加熱させている要因の一つに、その販売形式があります。「ブラインドボックス」と呼ばれる、箱を開けるまで中身が分からないドキドキ感や、レアアイテムを収集したいというコレクター欲が刺激され、さらに熱狂的な支持を生んでいます。現在は需要に供給が追いつかず、品薄で入手困難な状態が続いています。
しかし、希少価値が高くフリマサイトで高額取引される一方で、「大多数が無関心か否定的」という今回の調査結果は、セレブやインフルエンサーらのSNS上の熱狂が、Z世代全体に広く浸透しているわけではないという現実を浮き彫りにしました。コメントの中には「港区女子のイメージ」(神奈川県・22歳)、「ミーハーと金持ちが権威を見せびらかすためにブランドバッグに付けがち」(兵庫県・22歳)、「モンチッチに似てるけど、モンチッチの方が可愛い」(東京都・16歳)といった辛辣な意見も見られました。
Z世代に人気の「ラブブ」と「ミャクミャク」が並んだ様子
万博キャラ「ミャクミャク」もZ世代には響かず
万博が生んだ超人気キャラクターである「ミャクミャク」も、Z世代からの人気は思うほど振るいませんでした。「一番好き」と答えたのは、こちらもわずか1人。大阪や東京にオープンしたオフィシャルストアは連日大盛況ですが、Z世代を巻き込むほどの国民的キャラクターにまでは成長していなかったようです。
デビュー当初、海外からはその独創的なビジュアルが「ゾンビ」「モンスター」と形容され、賛否両論を巻き起こしました。万博を愛する人々や一部の熱心なファンの心はしっかりと掴んだものの、Z世代からは「色と形がムリ」(岩手県・13歳)、「キャラ自体がシンプルにキモい」(東京都・16歳)などの厳しいコメントが寄せられました。その強烈なビジュアルが、多くのZ世代女子にとってナンバーワンの座を射止める障壁となったようです。
結論:SNSの熱狂と現実のギャップ
今回の調査は、SNSやフリマサイトで目にする「ブーム」が、必ずしもZ世代全体の実態を反映しているわけではないことを示唆しています。「ラブブ」も「ミャクミャク」も、一部の層には熱狂的に支持され、市場価値も高いものの、大多数のZ世代には浸透しきれていない、あるいはむしろネガティブな印象を与えているという現実が明らかになりました。デジタル時代において、「人気」や「流行」の定義は一層複雑化しており、SNS上の熱狂と消費者の本音との間には、時に大きなギャップが存在することを理解する必要があるでしょう。
参考資料
- Yahoo!ニュース (記事元)




