EU、ロシア産LNGから米国産への切り替えをトランプ次期大統領に提案

EUのフォンデアライエン欧州委員会委員長は、11月8日、ハンガリーのブダペストで開催されたEU非公式首脳会議後の記者会見で、ロシア産LNGの輸入を米国産LNGに切り替える提案をトランプ次期米大統領に行ったことを明らかにしました。この提案は、EUと米国の経済関係強化、そしてエネルギー安全保障の向上を目指すものです。

米国産LNGへの切り替え提案の背景

フォンデアライエン委員長は、7日に行われたトランプ氏との初の電話会談で、EUと米国の「共通の利益」について話し合ったと述べました。その中で、ロシア産LNGへの依存を減らし、米国産LNGの輸入を増やすことが、双方にとって有益であるという考えを提案したのです。

altaltブダペストでのEU非公式首脳会議後の記者会見の様子。フォンデアライエン委員長は、米国との関係強化に意欲を示した。(写真:AFP)

エネルギー安全保障の観点

ロシアのウクライナ侵攻以降、EUはエネルギー安全保障の強化を喫緊の課題としています。ロシアへのエネルギー依存度を下げるため、米国産LNGの輸入拡大は重要な戦略の一つと位置付けられています。

経済的メリット

フォンデアライエン委員長は、米国産LNGはロシア産LNGよりも安価であり、輸入することで欧州のエネルギー価格が下がる可能性があると指摘しました。また、この提案はEUの対米貿易黒字の是正にも繋がるとの見解を示しています。

トランプ次期大統領の政策との関連性

トランプ氏は選挙戦で、保護主義的な貿易政策を掲げ、輸入品への高関税賦課を公約としていました。EUとしては、米国との貿易摩擦を避け、良好な関係を維持したいと考えています。米国産LNGの輸入拡大は、トランプ氏の政策にも合致し、EUと米国の関係強化に貢献すると期待されています。

貿易摩擦回避への期待

EUは、米国との貿易戦争を回避するため、米国産LNGの輸入拡大を提案することで、トランプ氏の理解を得たいと考えているとみられます。

今後の展望

EUは、米国との協議を進め、LNG輸入拡大に向けた具体的な方策を検討していく方針です。実現すれば、EUのエネルギー安全保障強化と経済活性化に大きく貢献することが期待されます。

altaltEUは、米国との協力関係を強化し、エネルギー供給の安定化を目指している。(イメージ画像)

EUは、ロシアからのエネルギー依存を脱却し、安定的なエネルギー供給を確保するため、米国との連携を強化していく方針です。今後の展開が注目されます。