米アラバマ州バーミングハム市で、州の児童保護サービス機関と契約する職員の管理下にあった3歳の男児が、高温の車内に長時間放置され死亡する痛ましい事件が発生しました。この悲劇は、児童保護に関わる職員の重大な過失が原因とみられており、全米における車内放置事故の危険性を改めて浮き彫りにしています。
悲劇の発生と背景:3歳児カトリアス・スタークス・ジュニア君の死
ジェファーソン郡検視局と州人材資源省が確認したところによると、命を落としたのはカトリアス・スタークス・ジュニア君(3歳)です。彼は2025年7月22日の日中、バーミングハム市内の住宅前に停車していた車の中に数時間にわたり閉じ込められ、その結果として死亡しました。この日の午後0時半から午後5時半にかけて、現地の気温は摂氏約33.9度から35.6度に達し、湿度も非常に高い状態でした。CNNの気象専門家によると、これらの気象条件を考慮した日陰での体感温度を示す「熱指数」は、摂氏約38.3度から40.6度にも及んでいたと報告されています。
高温の車内で命を落とした3歳児カトリアス・スタークス・ジュニア君の肖像
州契約職員の行動と遺族の訴え
遺族側の弁護士がCNNの取材に対し語ったところによると、この悲劇は州人材資源省の契約業者を通じて雇われた職員の行動に起因します。職員は22日午前9時にスタークス・ジュニア君を保育園へ迎えに行き、両親の親権回復手続きの一環として裁判所命令で行われた父親との面会に同行させました。この面会は午前11時半ごろに終了したとのことです。
しかし、弁護士の指摘によれば、職員は男児を面会後すぐに保育園へ戻さず、チャイルドシートに固定された男児を後部座席に乗せたまま、複数の私用を済ませていたとされます。そして午後0時半に自宅に戻った際も、男児を「窓を閉め、エンジンを切った車内に固定した状態」で放置したままにしたといいます。5時間以上が経過し、保育園から職員に対して「なぜ戻っていないのか」という問い合わせがあった後、職員はようやく男児がまだ車内にいることに気づいたと供述しているとのことです。その後、緊急通報が行われましたが、検視局により午後6時3分に死亡が確認されました。遺族の弁護士は、「3歳の子どもを暑い車に置き去りにしておきながら、子どもが閉じ込められていることを全く覚えていないなど、到底理解できない」「男の子は残酷な死を遂げた」と強い言葉で非難し、「もし両親と一緒にいたら、このようなことは起こらなかったはず」と付け加えました。CNNは当該の契約業者およびバーミングハム警察に対し問い合わせを行っていますが、現時点での回答は得られていません。
全米に広がる車内放置死亡事故の問題
子どもの車内事故防止に取り組む非営利団体「キッズ・アンド・カー・セーフティー」の責任者によると、高温の車内で子どもが死亡するケースは、今年アラバマ州で初めて発生しました。しかし、全米全体では今年これまでに、少なくとも16人の子どもが同様の高温車内放置により命を落としていると報告されています。これらの統計は、車内放置による熱中症が依然として深刻な社会問題であり、保護者や関係機関、そして一般市民全体の継続的な注意と意識向上が不可欠であることを示唆しています。特に夏場の自動車内温度は想像以上に上昇しやすく、短時間であっても子どもを車内に残す行為は極めて危険であり、絶対に避けるべきです。
参考文献
- CNN. (2025年7月27日). 米アラバマ州で3歳男児が灼熱の車内に放置され死亡、州契約職員の過失か. Yahoo!ニュース. https://news.yahoo.co.jp/articles/62ca05f845edb741ee9679db0b6a037d97d4d5a
- Jefferson County Coroner’s Office
- Alabama Department of Human Resources
- Kids and Car Safety. (公式ウェブサイト). https://www.kidsandcars.org/