静岡県伊東市の田久保真紀市長は2025年7月25日、市議会の百条委員会への出頭要請を拒否し、欠席した。市長は、求められている証言内容が「事実上不可能な内容を含む不適切な請求」であると主張する回答書を提出。百条委員会が召喚したものの、市長は応じなかった形だ。これに先立ち、市長は「今月中に辞職することが希望」と述べていたが、この日の報道陣に対しては時期を明言せず、「一応考えとしては持っているが…」と述べるにとどまった。この一連の動きは、伊東市政に大きな混乱をもたらしている。
伊東市のウェブサイトに掲載された田久保真紀市長の肖像写真。伊東市政の混乱の中心人物。
市議会の強い反発と「正当性」の結論
25日の百条委員会では、市長の出頭拒否に対し、委員から「自分は正しいと思う部分なのに、それを理由に出頭しないというのはもう権利を主張しすぎておかしなことになっている」といった強い意見が噴出した。委員会は、市長が提出を拒否した「卒業証書」とされる書類について、その提出拒否理由を「正当ではない」と結論付けた。
また、出頭拒否についても、伊東市議会の中島弘道議長は「正当な理由ではないことを、委員会として結論いたしました」と述べ、議会としての見解を示した。市議会の青木敬博副議長は、市長の対応を「敵前逃亡みたいな感じですよね。市民に対して説明を逃れているという印象」と厳しく非難し、顧問弁護士と協議の上で最終決定するとしつつも、「自分の今の個人的感覚では罰則は適用されると思っています」と、今後の展開を示唆した。
新たな投書が暴く「偽卒業証書」の作成経緯
このような状況の中、静岡第一テレビなどの報道により、市議会議長宛に「平成4年3月東洋大学法学部卒業生」を名乗る新たな投書が届いていたことが明らかになった。この投書には、「田久保真紀の卒業証書なるものの真実をお知らせします」と記されており、その内容が衝撃を与えている。
投書によれば、田久保市長は単位不足により3年生への進級ができず、入学から4年経過時点で2年生を3回繰り返していたという。さらに、「田久保だけが卒業できないのはかわいそうだ。お遊びで卒業証書を作ってやろう」「自分たちが持っている本物の卒業証書と同じ造りでは犯罪になるため、敢えて誰が見てもパロディだとわかる忘年会の余興の出し物のような造りにした」と、まるで余興のような形で偽の卒業証書が作成された経緯が詳細に記されていた。投書を確認した議長は、これを「公文書」扱いとし、百条委員会の委員に共有したという。
辞任時期の曖昧さと退職金算定の疑惑
7月末までの辞任を表明していた田久保市長だが、25日の記者からの問いには、「一応考えとしては持っているが、はっきりできる時点でしっかりしたい」と、具体的な時期の明言を避けた。この曖昧な回答は、退職金の算定方法との関連で新たな疑惑を呼んでいる。
伊東市が公開している資料によると、2024年6月1日現在の市長の給料は月額85万5000円。退職手当の算定方法は「給料月額×45/100×在籍月数」と定められている。テレビ静岡の7月10日の報道では、市長の退職金は毎月1日が算定基準日と報じられており、これに対し、市職員からは「8月1日以降に辞めるつもりなのか」といった不信感をあらわにする声が報じられている。
市長の学歴疑惑、議会との対立、そして退職金をめぐる不透明な辞任時期。伊東市政の混乱は、8月も続いていくのか、市民の注目が集まっている。
参考文献
- J-CASTニュース (2025年7月27日). 伊東市・田久保市長、百条委を欠席…「卒業証書が偽物」新疑惑の投書も. Yahoo!ニュース.
- 静岡第一テレビ
- テレビ静岡
- 伊東市ウェブサイト