海上自衛隊横須賀基地に2024年11月7日、韓国海軍の強襲揚陸艦「マラド(馬羅島)」が寄港しました。未来の韓国軍を担う士官候補生約700名を乗せ、日米での研修を目的とした今回の来日は、安全保障分野での連携強化を象徴する重要な機会と言えるでしょう。
堂々たる巨艦「マラド」:その能力と任務
全長200m、全幅31m、満載排水量約1万9000トンという堂々たる巨艦「マラド」。その艦内には、乗員330名に加え、海兵隊員など最大720名もの人員を収容できます。主力戦車6両、KAAV水陸両用車7両、LCAC(エアクッション型揚陸艇)2隻、そして汎用ヘリコプター7~12機を搭載可能という圧倒的な輸送能力は、まさに海上拠点としての役割を担っています。
alt_text
防衛面では、艦首と艦尾に20mmバルカン砲(CIWS)、艦橋後部には地対空ミサイル発射可能なK-VLSを装備。攻守両面で高い性能を誇ります。独島級強襲揚陸艦の2番艦として2018年5月に進水、2021年6月に就役した「マラド」は、韓国海軍の近代化を象徴する存在と言えるでしょう。防衛専門家である佐藤一郎氏(仮名)は、「マラドの就役は、韓国海軍の遠洋作戦能力向上に大きく貢献している」と指摘します。
日米研修:未来のリーダー育成への投資
今回の来日の主目的は、陸海空および海兵隊の士官候補生、軍看護学生を含む約700名からなる合同訓練部隊による安全保障研修です。在日米軍基地などでの研修が予定されており、日米韓の安全保障協力の強化、相互理解の促進に繋がる貴重な機会となることが期待されます。
3隻で構成される巡航訓練艦隊:連携強化の象徴
「マラド」は単独での来日ではなく、揚陸艦「天子峰(チョンジャボン)」、補給艦「大清(デチョン)」と共に行動し、3隻で巡航訓練艦隊を編成しています。複数の艦種による共同訓練は、艦隊運用能力の向上、連携強化に不可欠です。海上自衛隊OBの田中二郎氏(仮名)は、「今回の合同訓練は、東アジア地域の安全保障環境を鑑みる上で非常に重要な意義を持つ」と語っています。
「マラド」を中心とする今回の来日は、韓国海軍の将来を担う若き精鋭たちの育成、そして日米韓の安全保障協力の強化という、重要な二つの側面を持つと言えるでしょう。今後の動向に注目が集まります。