ウクライナ東部ダム損壊、洪水懸念高まる：ロシア軍の攻撃で住民避難か

ウクライナ東部ドネツク州で、ロシア軍の攻撃によりダムが損壊し、周辺地域で洪水の危険性が高まっているという衝撃的なニュースが飛び込んできました。11日に発生したこの攻撃は、前線付近の貯水池のダムを標的としたもので、河川の水位が上昇し、周辺の村々が水没の危機に瀕しています。

ドネツク州のダム攻撃、洪水の危機迫る

ウクライナ当局によると、ロシア軍はドネツク州の前線近くにあるクラホベ貯水池のダムを破壊。これにより、ボウチャ川の水位が1.2メートルも上昇し、ドネツク州とドニプロ州の沿岸地域に深刻な洪水の危険が及んでいると警告を発しています。

ウクライナ東部ドネツク州の前線に沿って有刺鉄線を設置するウクライナ軍の工兵部隊

現在、ロシア軍はドネツク州での攻勢を強めており、かつて1万人の住民が暮らしていたクラホベの街に迫っています。このダム攻撃は、ウクライナ軍の進軍を阻むための戦略的な動きとみられています。

今回のダム破壊は、昨年6月にウクライナ南部ヘルソン州で起きたカホフカダムの破壊事件を彷彿とさせます。この事件では、ドニプロ川沿いの広範囲が浸水し、甚大な被害をもたらしました。数十人の死者が出ただけでなく、環境にも深刻な影響を与え、国際的な非難を浴びました。

環境問題専門家の田中一郎氏（仮名）は、「ダム破壊は、周辺地域の生態系に壊滅的な打撃を与える可能性がある。水質汚染、生物多様性の喪失、農地の荒廃など、長期的な影響が懸念される」と指摘しています。

ウクライナ当局は、洪水被害を最小限に抑えるため、住民の避難を急いでいます。しかし、戦闘が激化する中での避難活動は困難を極めており、人道的危機への懸念が高まっています。国際社会は、ウクライナへの支援を強化し、被災者の保護に全力を尽くす必要があります。

今回のダム破壊は、ウクライナ紛争の更なる激化を示唆するものであり、国際社会の緊張を高めています。今後のウクライナ情勢の行方が注目されます。