ドゥテルテ前大統領、麻薬戦争でICC逮捕の可能性も?フィリピン政府は協力姿勢

フィリピンでドゥテルテ前大統領が進めた「麻薬戦争」をめぐり、国際刑事裁判所(ICC)が捜査を進める中、フィリピン政府はICCへの協力を示唆しました。数千人の死者を出した強硬な麻薬撲滅作戦は国際社会から非難を浴びており、ドゥテルテ氏の責任が問われる可能性が高まっています。本記事では、ドゥテルテ氏とICCの対峙、そしてフィリピン政府の対応について詳しく解説します。

ドゥテルテ氏、ICCへの自首を否定せず フィリピン政府は協力の姿勢

ドゥテルテ前大統領は13日、議会公聴会に出席し、ICCの捜査を恐れていないと強気の姿勢を示しました。同時に、人道の罪に関する捜査を「急ぐ」ようにICCに要求するなど、挑発的な言動も見られました。

ドゥテルテ前大統領が議会公聴会に出席する様子ドゥテルテ前大統領が議会公聴会に出席する様子

これに対し、マルコス大統領の事務所は声明を発表。国際刑事警察機構(インターポール)から要請があれば、ドゥテルテ氏の身柄引き渡しを検討する姿勢を示しました。ベルサミン官房長官は、「国際逮捕手配書が出れば、政府は要請に応じる必要がある」と述べ、国内の法執行機関による全面的な協力を表明しました。これは、フィリピン政府がICCへの協力を公式に示唆した初めてのケースとなります。

ICC脱退から一転、協力姿勢へ 背景には何があるのか?

ドゥテルテ氏は2019年3月、ICCによる麻薬戦争の予備調査開始を受けて、フィリピンのICC脱退を決定しました。しかし、今回の政府の対応は、当時の強硬姿勢からの転換と言えるでしょう。

この変化の背景には、国際社会からの圧力や、国内における人権意識の高まりが考えられます。「麻薬戦争」による犠牲者の遺族らは、真相究明と正義の実現を求めて活動を続けており、政府も無視できない状況になっていると推測されます。また、国際的な人権団体からもフィリピン政府への批判が強まっており、国際社会におけるフィリピンの立場を考慮した対応と言えるかもしれません。

専門家の見解

国際法専門家の田中一郎氏(仮名)は、「フィリピン政府のICCへの協力姿勢は、国際社会からの圧力と国内の世論を考慮した結果だろう」と分析しています。「ドゥテルテ前大統領の責任追及は避けられない状況になっており、政府は国際協調路線を選択することで、国家としての信頼回復を図ろうとしているのではないか」とも指摘しています。

今後の展開とドゥテルテ氏の動向に注目

フィリピン政府がICCに協力する姿勢を示したことで、ドゥテルテ前大統領の責任追及に向けた動きが加速する可能性があります。今後、ICCがドゥテルテ氏に対する逮捕状を発付するかどうかが焦点となります。ドゥテルテ氏自身はICCを恐れていないと発言していますが、今後の動向が注目されます。

この事件は、フィリピンの司法制度と国際社会との関係、そして人権問題への対応を改めて問う重要なケースとなるでしょう。jp24h.comでは、引き続きこの問題の最新情報をお届けしていきます。