米中対立で米国が韓国に厳しい警告:マスト委員長「両天秤は侮辱」

米国議会下院のブライアン・マスト外交委員長(共和党)は24日、友好国である韓国に対し、米中覇権競争における明確な立場を要求する強い警告を発しました。同委員長は「米国は世界のどの国も提供できない価値を持つパートナーとして認められるべきであり、利用されてはならない」と強調。さらに、「(韓国の)一部が米国と中国の二つの船をどちらも支えようとしているが、米国がこれまで以上に重視するインド太平洋地域で、中国に対するバランス・けん制の役割から逸脱することは望まない」と明言しました。マスト委員長は、どちらの国も満足させようとすれば最終的に全てが被害を受けるとし、「米国はこれを侮辱と見なすだろう」と厳しい言葉で釘を刺しました。

米中二択の綱渡りをする韓国の立場を表すイラスト米中二択の綱渡りをする韓国の立場を表すイラスト

マスト委員長の警告:同盟国に求める明確な姿勢

マスト委員長は同日、マイケル・フリン元国家安全保障補佐官が会長を務めるシンクタンク主催のカンファレンスで遠隔講演を行いました。この席で、韓米同盟財団のシン・ギョンス事務総長が「韓米同盟の未来をどう考えるか」と質問したのに対し、上記の警告を発しました。同委員長は、韓国が中国により近い位置にあり、中国への露出度が高い点は避けられないと認めつつも、「米中双方を満足させようと考えるべきではない。それは米国が望む世界への確固たる献身とはならず、世界中が被害を受けるからだ」と指摘しました。

マスト委員長はまた、「米国がより強く訴え、重視している中国に対するバランス・けん制の役割を(韓国の)一部の人間たちが超えることは望まない」と述べ、これは米国の対中けん制政策において最も弱いリンクと見なされがちな韓国への、米国側の不満を隠さない発言と受け止められます。国際関係における「両天秤」戦略のリスクを明確に示し、同盟国としての責任とコミットメントを強く求めているのです。

米国が求める「最大限の努力」:二つの比喩が示すもの

マスト委員長は、同盟関係における米国の期待を二つの比喩で説明しました。一つは、非常に重い物を4〜6人の仲間が持ち上げる際、背の高いメンバーが最も力を入れて支える一方、背の低い人たちがただ手を上げ、苦しんでいるふりをしながら何の努力もしていない状況です。同委員長は、「これは国同士の関係とよく似ている。可能な限り努力し、最大限の力で支えてくれるパートナーを米国は求めている」と述べ、同盟国には能力に応じた積極的な貢献を期待していることを示しました。

もう一つは、「こちらの船に片手を、あちらの船にもう片方の手を上げて二つの船を同時に支えようとしても意味はないだろう」という比喩です。これは、米中間の覇権競争において、両国に同時に良い顔をしようとする「両天秤」の姿勢がいかに無益であるかを明確に示しています。「米中両国を同時に支えようとすれば、最終的にそれは失敗し、逆に関係悪化につながるはずだ」と強く警告し、同盟国には明確な選択と一貫した行動が求められるという米国の姿勢を浮き彫りにしました。

結論

ブライアン・マスト米下院外交委員長の発言は、米中間の地政学的競争が激化する中で、米国が同盟国に対し、より明確なコミットメントと立場を求めている現状を浮き彫りにしています。特に、韓国が「両天秤」戦略を追求することに対し、「侮辱」とまで表現したことは、米国がこの問題に極めて強い懸念を抱いていることの表れです。今後の米韓関係、そして中国を巡る国際情勢において、同盟国がいかに明確な選択をしていくかが、関係性の安定と国際社会における信頼構築の鍵となるでしょう。

参考資料