木星。夜空に輝く巨大な惑星。地球の1000倍以上の体積を持つこのガス惑星は、一体どのような姿をしているのでしょうか?表面はどうなっているのか?中心には何があるのか?この記事では、木星の神秘に迫り、その驚くべき真実を分かりやすく解説します。
ガス惑星の表面とは?
地球のような固い地面を想像すると、木星の表面は謎めいています。私たちが普段「表面」と呼ぶものは、木星には存在しません。木星の大部分は、水素とヘリウムガスで構成されています。地球の大気と同様に、高度が下がるにつれて圧力は増加しますが、その規模は桁違いです。
alt木星探査機ジュノーの打ち上げの様子。このような探査機によって、木星の謎が少しずつ解き明かされています。(Photo: Getty Images)
木星の大気中を下降していくと、高圧のガスに押しつぶされるような感覚になります。水深1600kmに相当する深さまで到達すると、信じられない圧力と温度によって水素ガスは液体水素へと変化します。これは、水のない巨大な海のようです。
さらに中心に向かって3万km進むと、液体水素は「液体金属水素」という特殊な状態に変化します。この状態では、水素原子は電子を共有し、金属のように電気を通すようになります。京都大学宇宙物理学研究室の山田教授(仮名)によると、「液体金属水素は、地球上では再現が非常に難しい極限状態でのみ存在する物質です。木星内部の環境を理解する上で重要な鍵となります。」とのこと。
重要なのは、これらの変化は段階的に起こるということです。明確な境界線はなく、ガスから液体、そして液体金属水素へと徐々に変化していきます。つまり、木星には固い表面は存在しないのです。
木星の中心には何が?
木星の核は未だ謎に包まれています。しかし、多くの科学者は、地球の10~20倍の質量を持つ岩石や氷の核が存在すると考えています。この核は、木星が形成された初期段階に集まった物質からできていると考えられています。
alt木星の内部構造模式図。中心部の核は高密度で、周囲を液体金属水素が覆っています。
この核の周囲は、高圧の液体金属水素で覆われています。この液体金属水素が木星の強力な磁場を生み出していると考えられています。木星の磁場は地球の約2万倍もの強さがあり、太陽系で最も強力な磁場のひとつです。
木星の嵐と大赤斑
木星の大気は、時速600kmを超える猛烈な嵐が吹き荒れています。中でも有名なのが「大赤斑」と呼ばれる巨大な渦です。大赤斑は地球が2~3個も入るほどの大きさで、少なくとも300年以上前から存在が確認されています。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)の惑星科学者、佐藤博士(仮名)は、「大赤斑は木星大気のダイナミックな活動を示す象徴的な存在です。そのメカニズムの解明は、木星だけでなく、他の巨大ガス惑星の理解にもつながります。」と語っています。
まとめ:謎多き巨大ガス惑星
木星は、地球とは全く異なる環境を持つ巨大ガス惑星です。固い表面はなく、高圧のガスや液体金属水素で構成されています。その中心には、謎に包まれた核が存在し、強力な磁場を生み出しています。木星の探査は今も続いており、今後の研究によって、さらに多くの謎が解き明かされることでしょう。