国連女性差別撤廃委員会が日本政府に対し、選択的夫婦別姓制度の導入を勧告しました。2003年以降、実に4度目となる勧告は、日本の男女平等実現に向けた取り組みの遅れを改めて浮き彫りにしました。本記事では、日本のジェンダーギャップの現状と、真の平等社会実現に向けた課題を探ります。
ジェンダーギャップ指数:世界からの遅れ
日本はジェンダーギャップ指数において、146カ国中118位と低迷しており、先進国G7の中では最下位です。特に政治・経済分野での遅れが顕著で、国連の勧告もこの現状を反映しています。
政治における女性の割合を示すグラフ
政治における女性の少なさ
直近の衆議院選挙では、女性候補者数は過去最高を記録したものの、全体の比率は依然として低く、当選者数も目標には届いていません。女性議員を増やすためには、候補者数の増加が不可欠ですが、現状では政府目標に遠く及ばない状況です。
経済における女性の管理職の少なさ
経済分野でも、女性管理職の割合は世界的に見て低い水準です。厚生労働省の調査によれば、部長・課長相当職における女性の割合は依然として低く、前年比でほとんど変化が見られません。
経団連の調査では、東証プライム市場上場企業における女性役員比率は増加傾向にあるものの、政府目標達成にはさらなる努力が必要です。社内出身の女性役員の育成が今後の課題と言えるでしょう。
女性活躍推進の光と影
明るい兆しとしては、全国の女性社長数は増加傾向にあり、初めて15%を超えました。女性活躍を支援する企業の取り組みも広がりを見せています。
課題は山積
しかし、政府の取り組みは「最重要課題」と位置付けられているにも関わらず、十分とは言えません。男女の人口比率を考慮すれば、女性社長、管理職、議員の数は少なくとも30%は必要です。
女性活躍推進の取り組みのイメージ
専門家の意見として、「男女双方に一定の比率を割り当てるクオータ制の導入も検討すべき時期に来ている」という声も上がっています。東レ経営研究所の宮原淳二部長は、「選択的夫婦別姓制度の導入は、希望する女性が選択できる制度であり、家族の一体感の喪失といった反対意見は理解に苦しむ。早急な導入が必要だ」と述べています。
真の平等社会実現に向けて
日本社会における女性の活躍は、持続可能な社会の実現に不可欠です。ジェンダーギャップを解消し、真の平等社会を実現するためには、政府、企業、そして個人が一体となって取り組む必要があります。早期の対応が求められています。