中国が西海(黄海)の暫定措置水域(PMZ)に無許可で設置した海上固定構造物が、廃船となった石油ボーリング船を改造したものとみられることが判明しました。中国はこれを「養殖場支援施設」と主張していますが、専門家は海洋境界に影響を及ぼす可能性を指摘し、懸念を示しています。
衛星写真が捉えた「ミニ人工島」の実態
米国の地球観測データアプリ「SkyFi」から入手した衛星写真によると、問題の構造物は縦80メートル、横100メートルにも及び、ヘリポートや鉄骨の柱が確認できます。韓国海洋科学技術院の海洋調査船「オンヌリ号」が撮影した写真には、「Atlantic Amsterdam」という文字が確認され、これは1982年に建造された石油ボーリング船と判明しました。中国は過去にも南シナ海で同様の手法を用いて影響力を拡大してきた経緯があり、西海でも同様の動きを見せている可能性が懸念されます。
中国が西海の暫定措置水域(PMZ)に設置した海底固定構造物
深藍1号・2号との関連性
PMZには、中国が「養殖場」と主張する八角形の鉄製構造物「深藍1号」「深藍2号」も存在します。これらは半潜水式で、衛星写真への写り方が変化することから移動している可能性も示唆されています。一方、今回の固定構造物は2022年10月以降同じ位置に留まっており、中国はこれを「深藍を管理・支援する施設」と説明しています。
専門家の見解と今後の展望
海洋専門家の佐藤一郎氏(仮名)は、「中国は固定構造物によって海上の支配力を強化しようとしている」と指摘します。韓国船舶の航行を制限し、将来的にはこの海域を事実上の内海化することも視野に入れている可能性があります。
深藍2号上部の海面上監視施設
ボーリング船改造の意図
古いボーリング船とはいえ、100人収容可能な空間を有するこの構造物は、「小型の人工島」とも言える規模です。韓国海洋水産部は、中国の真の意図を注視していく方針です。中国の海洋進出は、周辺国との緊張を高める可能性があり、今後の動向が注目されます。