死刑制度。その重い現実を担う刑務官たちの胸中は、一体どのようなものなのか。2024年12月21日、3人の死刑囚への刑が執行されました。岸田政権下では初めての執行となり、確定死刑囚は108人となりました。今回は、jp24h.comが独自に入手した元刑務官M氏へのインタビューを基に、死刑執行の舞台裏に迫ります。
執行までの流れ:選ばれし者の重圧
死刑執行の現場
死刑執行に立ち会う刑務官は、厳しい選抜基準をクリアした精鋭たちです。中でも重視されるのは精神力。死刑という行為を冷静に「職務」として遂行できる強靭な精神が求められます。M氏によると、執行官に選ばれるのは当日の朝。情報漏洩や仮病を防ぐための措置とのことです。「内門の前で主任から『今日、執行お願いします』と告げられる。それが合図だ」とM氏は語ります。執行は午前10時ごろに行われるため、選ばれた刑務官はその日、通常業務には就きません。朝から刑場に入り、その時を待ちます。
執行ボタン:想像を絶する重責
執行ボタン
日本の死刑執行は、3~5人の刑務官がボタンを押すことで行われます。しかし、どのボタンが実際に床を開くのかは分かりません。これは刑務官の精神的負担を軽減するための措置です。執行ボタンを押すという行為は、想像を絶する重圧を伴うことは想像に容易いでしょう。刑務所の精神科医であるS氏(仮名)は、「死刑執行に関わる刑務官は、PTSDを発症するリスクが高い」と指摘しています。
執行後の任務:さらなる苦悩
ボタンを押す以外にも、刑務官には重要な役割があります。それは、執行後の死刑囚の身体を押さえること。落下による負傷や体液の飛散を防ぐための作業ですが、肉体的にも精神的にも大きな負担がかかります。「ボタンを押すより辛い」という声も多いとM氏は言います。死刑執行は、刑務官にとって決して簡単な任務ではないのです。
執行の失敗:過去の事例と教訓
死刑囚
過去には、執行が失敗に終わったケースも存在します。数十年前、ある拘置所で5人の刑務官がボタンを押す際に、1人が恐怖のあまり押せなかったという事件がありました。そのボタンが「当たり」だったため、執行は中断。仕切り直しとなったそうです。この事例は、死刑執行という行為がいかに過酷なものであるかを物語っています。
死刑制度:私たちは何を問われているのか
死刑制度については、今もなお賛否両論が渦巻いています。今回ご紹介した刑務官たちの証言は、死刑という制度の複雑さを改めて浮き彫りにしています。私たち一人一人が、この問題について深く考え、向き合っていく必要があるのではないでしょうか。