宮内庁は6月26日、天皇ご一家が長年大切に飼われていた愛犬「由莉(ゆり)」が、6月23日夕方に亡くなったことを明らかにしました。16歳4カ月でした。由莉は、皇居・御所で、天皇、皇后両陛下と長女・愛子さまに見守られながら、老衰のため穏やかに息を引き取ったとのことです。ご一家は、由莉を「長年にわたってご家族の一員のようにかわいがっておられたので、大変寂しく思っていらっしゃるご様子です」と、側近は語っています。
由莉は、天皇ご一家の誕生日などに合わせて公開される映像や、御用邸でのご静養時の写真にたびたび登場し、国民にその愛らしい姿を見せてきました。特に、愛子さまと由莉の間には、深い絆があったことが、これまでの様子からうかがえます。側近は、由莉の死に対する愛子さまのご様子について、「悲しく思われているものと拝察している」と述べています。愛子さまは幼い頃から由莉のお世話をされており、由莉は愛子さまの人生の半分以上の長い間、姉妹のような大切な存在でした。由莉が息を引き取った瞬間はもちろんのこと、時間が経つにつれて、そばに由莉がいないことへの寂しさをより深く感じておられることでしょう。
由莉は、動物病院で保護されたメスの柴犬系の雑種でした。2009年春、生後およそ2カ月のときに、天皇、皇后両陛下(当時は皇太子ご夫妻)が引き取られました。由莉という名前は、当時学習院初等科2年生だった愛子さまが名付けられたものです。カタカナの「ユリ」やひらがなの「ゆり」ではなく、飼い犬の名前に「由莉」と漢字があてられているのは珍しく、興味深い点です。愛子さまは、この名前を「自由」の「由」から取られたとされています。小学校で漢字をたくさん学習されていた時期の愛子さまらしい、微笑ましいエピソードとして知られています。
那須御用邸で静養中に散策する天皇ご一家と愛犬由莉
由莉が初めて一般にその姿を見せたのは、2009年5月に天皇ご一家が栃木県の御料牧場に向かわれた際でした。このとき、愛子さまはまだ小さな由莉を、まるで生まれたばかりの赤ちゃんを抱くかのように、優しく両腕で包み込んでいらっしゃいました。その約3カ月後の8月、天皇ご一家が栃木県の那須御用邸で静養されるためにJR那須塩原駅にお出ましになった際にも、愛子さまは由莉を抱っこされていました。その姿は、由莉に対する愛子さまの深い愛情を示していました。
長年にわたり天皇ご一家の傍らで過ごした由莉の存在は、ご一家にとって大きな癒やしであり、喜びであったことでしょう。特に愛子さまにとっては、成長を見守ってくれたかけがえのない家族でした。由莉が安らかに旅立った今、ご一家は深い悲しみに包まれていますが、由莉と共に過ごした温かい日々は、いつまでも心の中に生き続けることでしょう。
参照元: Yahoo!ニュース (朝日新聞デジタル)