元フジテレビアナウンサーの渡邊渚さんが、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を克服し、新たな人生に挑戦している姿を追いました。長期療養と退職を経て、フリーランスとして活動を開始した渡邊さん。その背景には、想像を絶する苦悩と、それを乗り越えようとする強い意志がありました。
PTSDとの闘い、そして克服へ
昨年7月、画面から姿を消した渡邊さん。長期療養を余儀なくされ、入院生活を送っていました。手足の自由が奪われ、食事もままならない状態。精神的にも追い込まれ、PTSDを発症したことを後に告白しています。
元フジテレビアナウンサー渡邊渚さん
回復の兆しが見え始めたのは今年の春。治療法の一つである「持続エクスポージャー」に取り組み、トラウマと向き合い続けました。トラウマとなった場所へ足を運ぶトレーニングなど、精神的な苦痛を伴う治療でしたが、徐々に効果が現れ始めます。体力が回復し、友人と外出できるようになるなど、日常生活を取り戻していきました。
メニエール病も併発していた渡邊さんですが、PTSDの治療過程で症状が改善。規則正しい生活とストレス軽減が功を奏し、目眩や耳の異常も解消されたといいます。
フリーランスとしての新たな出発
今年8月末、フジテレビを退職。多くの芸能事務所からオファーが届きましたが、全て断り、フリーランスとして独立の道を選びました。「アナウンサー」という肩書に縛られず、自分の言葉で表現したいという強い思いがあったからです。
税金などの事務手続きも全て一人でこなし、仕事の依頼も自ら選別。大変なことも多いそうですが、充実した日々を送っている様子が伺えます。
心的外傷後ストレス障害の啓発活動へ
PTSDを公表した理由の一つに、情報量の少なさを挙げる渡邊さん。自身の経験を語ることで、同じ苦しみを抱える人々に寄り添いたいと考えています。
大学で特別講師を務め、心的外傷後ストレス障害についての講義を行うことも決定。臨床心理士を目指す学生たちに、患者の視点から必要なサポートや言葉について伝える予定です。
未来への展望
幼少期から日記を書き続け、言葉への愛情を持つ渡邊さん。現在はサブスクリプションでエッセイを執筆し、自身の言葉で多くの人々に発信しています。
渡邊渚さんの活動
不安が完全に消えたわけではないものの、心理士から教わった方法で精神状態をコントロールしながら、前向きに生きています。「シルバーリボン」の活動にも関心を持ち、精神疾患啓発活動への参加も視野に入れています。
PTSDという大きな困難を乗り越え、新たな一歩を踏み出した渡邊渚さん。彼女の発信は、多くの人々に勇気を与えるとともに、精神疾患への理解を深める一助となるでしょう。