牛丼御三家の一角を占める松屋フーズは、従来の牛丼中心から脱却し、定食やカレーなどの豊富なメニューと積極的な新商品開発で独自の戦略を展開しています。物価高騰や人件費上昇など外食産業が厳しい環境に直面する中、松屋はいかにして売上を伸ばしているのでしょうか。その背景と現状に迫ります。
厳しい外食環境と松屋フーズの事業拡大
外食産業は、雇用・所得環境改善やインバウンド需要回復の明るい兆しがある一方、原材料費や人件費、エネルギー価格の高騰が重荷となり、依然として厳しい局面にあります。この状況に対し、松屋フーズは「守りに入れば成長なし」との考えのもと、事業規模の拡大を推進。牛めし業態だけでなく、とんかつ、鮨、海外など多角的な業態での新規出店を進めました。その結果、牛めし80、とんかつ11、鮨6、海外・その他13店舗の合計110店舗を新規オープン。同時に、不採算店10店舗(牛めし9、海外1)の撤退も行い、期末店舗数はフランチャイズを含め1,365店舗となりました。業態別の内訳は、牛めし1,106、とんかつ195、鮨17、海外・その他47店舗です。
積極的な新商品提案が牽引する来店促進と売上増大
松屋の成長戦略の核となっているのが、斬新な発想に基づく新商品の活発な提案です。これらの新メニューはSNSなどを通じて話題を呼び、集客力を高める重要な要素となっています。既存店ベースでは、客数が前年比+6.6%、客単価も同+8.2%と順調に伸長。
松屋で提供される期間限定定食メニューの写真イメージ(価格表示あり)
特に、「いくら丼」「3種ソースのグラタンハンバーグ」「ポーランド風ミエロニィハンバーグ」、「リトアニア風ホワイトソースハンバーグ」「サムギョプサル風 極厚豚バラ焼肉定食」といった国際色豊かなメニューは、消費者に新鮮な関心と来店動機を与えています。こうした取り組みが功を奏し、前期比20.9%増となる1,542億2,300万円という目覚ましい売上を達成しました。
結論
厳しい外食市場において、松屋フーズは牛丼に依存しない多角的なメニュー展開と積極的な新商品投入、そして計画的な店舗網拡大によって成長を続けています。これらの独自戦略が、消費者の関心を引きつけ、客数・客単価の向上、ひいては大幅な売上増に繋がったと言えるでしょう。今後も松屋の動向は注目されます。