日本で37年間生活してきたフィリピン人男性が、強制送還の危機に直面しています。偽造パスポートでの入国という過去を抱えながらも、日本で家庭を築き、小学校に通う息子もいる男性。家族と共に日本で暮らすことを願う男性の訴えと、今後の行方について詳しく見ていきましょう。
貧困からの来日と偽造パスポート
1987年、20代だった男性は、フィリピンで貧しい生活を送っていました。母親の乳がん治療費、弟妹の生活費・学費を稼ぐため、出稼ぎを決意し来日します。しかし、エージェントに騙され、偽造パスポートでの入国を強いられました。家族への脅迫もあり、男性は不本意ながらも違法入国という道を選ばざるを得なかったのです。
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来日後は、組織に監視されながら過酷な労働を強いられましたが、1年後には逃亡に成功。その後37年間、日本で生活を続けてきました。
日本で築いた家族と在留特別許可への道
2012年、運命的な出会いによって現在の妻となるフィリピン人女性と知り合い、2013年には同居を開始。その後、二人の間に息子が誕生します。妻もオーバーステイの状態でしたが、2022年12月、家族3人で東京入管に自主出頭し、在留特別許可を求めました。
2023年2月には息子の出生届が受理され、8月には正式に妻と婚姻。息子の小学校入学も認められました。家族として日本で暮らす道筋が見えてきた矢先、2024年5月、妻と息子には在留特別許可が認められましたが、男性には退去強制発布処分が出されてしまいます。
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迫る強制送還と男性の訴え
11月21日には強制送還が予定されている男性。37年間日本で生活し、家族を築いてきた男性にとって、母国フィリピンには帰る場所はありません。母親と弟は既に亡くなり、妹とも音信不通の状態です。
そこで男性は、退去強制発布処分の取り消しと在留特別許可を求める訴訟を東京地裁に提訴しました。長年日本で真面目に働き、納税もしてきた男性。家族と共に日本で暮らすことを切実に願っています。
今後の行方と在留特別許可の可否
移民問題専門の弁護士、山田一郎氏(仮名)は、「長年の居住期間、家族の存在、そして人道的観点から、在留特別許可が認められる可能性は十分にある」と述べています。しかし、偽造パスポートでの入国という事実は、判断に大きく影響する可能性も否めません。
男性の訴えは、今後の日本の移民政策、そして家族の在留資格問題を考える上で重要な事例となるでしょう。強制送還か、在留特別許可か、その判断に注目が集まります。