実写版『リロ&スティッチ』が予想外の大ヒット!低予算で今年初の10億ドル突破も?

時に真のヒーローは予期せぬ場所に現れる。実写版『リロ&スティッチ』の予想外の成功は、まさにディズニーが今強く感じていることだろう。巨額の製作費を投じた他の作品が苦戦する中、この低予算作品が爆発的なヒットを記録したのだ。製作費2億5000万ドルをかけた実写版『白雪姫』は、北米興収わずか8700万ドルで赤字に。5月頭に公開された『サンダーボルツ』は、製作費1億8000万ドルに対し世界興収3億7000万ドルと、悪くはないものの、マーベルの全盛期の作品には及ばない。そんな中、大きくはない予算で、あまり期待もされていなかった実写版『リロ&スティッチ』が、爆発的ヒットを記録してみせたのである。

驚異の滑り出しと10億ドルの可能性

先月23日に北米公開された今作は、同日公開で2位の『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコーニング』の6400万ドルの2倍以上にあたる1億4600万ドルを稼ぎ、見事、首位デビュー。公開2週目も余裕で首位をキープし、現在までに全世界で6億1000万ドル以上を売り上げている。業界関係者は、9億5000万ドルは手堅いと見ているが、他国に遅れて6月6日公開となる日本の成績次第では、10億ドルの大台に乗る可能性もありだ。

実写版『リロ&スティッチ』の劇中画像。低予算ながら世界中で予想外の大ヒットを記録している様子を伝えるニュース記事に使用。実写版『リロ&スティッチ』の劇中画像。低予算ながら世界中で予想外の大ヒットを記録している様子を伝えるニュース記事に使用。

そうなれば、ハリウッド映画としては今年最初の10億ドル映画となる(今年はすでに、中国のアニメ『ナタ 魔童の大暴れ』が世界興収10億ドルを余裕で超えているが、ハリウッド映画のトップは『マインクラフト/ザ・ムービー』の9億4800万ドル)。

当初は期待されていなかった実写化

近年、ディズニーは名作アニメーション映画をせっせと実写化してきたものの、『リロ&スティッチ』への熱は高くなかった。2002年に公開されたオリジナルは、ディズニーのアニメーションの中ではやや風変わりだし、その後にビデオスルーの作品が作られたとはいえ、フロリダのディズニーワールドのアトラクションも、2020年に永久閉鎖されている。

Disney+向け企画から劇場へ、賢い予算編成

2018年、プロデューサーらが実写化のアイデアを売り込んできた時も、スタジオはあまり気乗りしなかったのだが、ちょうど立ち上げようとしていた配信プラットフォームDisney+のコンテンツを欲していたこともあり、配信向けオリジナル作品として製作されることになった。製作費は、エマ・ワトソンを主役に据えた『美女と野獣』(1億6000万ドル)、ウィル・スミスがジーニーを演じた『アラジン』(1億8300万ドル)などに比べてずっと低い1億ドル。スティッチのキャラクターがすべてCGで、スペシャルエフェクツにお金がかかることを考えると、かなり賢く、無駄なく作ったと言える。

実写版『リロ&スティッチ』の成功は、必ずしも巨額の製作費や事前の大きな期待がヒットを保証しないことを示唆している。低予算ながらも世界中で観客を惹きつけ、今年初のハリウッド映画10億ドル突破の可能性すら見えてきたこの作品は、まさに「真のヒーローは隠れた場所にいる」という言葉を体現していると言えるだろう。

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