国民皆保険制度の一翼を担う国民健康保険。しかし、その保険料の高さに頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。本記事では、国民健康保険料が高額になってしまう原因、そしてその背景にある制度の課題について、分かりやすく解説します。
高すぎる国民健康保険料:元厚労省職員の言葉
国民健康保険料問題を取材中、元厚生労働省指導医療官の医師に話を伺う機会がありました。医師は保険料の高さを訴える私に、「社会保険加入者は自分たちの保険料に加え、税金を通じて国保も支えている」と指摘しました。
自治体の国民健康保険財政は保険料収入だけでは不足するため、一般会計からの繰入金で補填されています。これは、企業に勤める社会保険加入者の住民税からも、国保財政を支えていることを意味します。医師は「国保加入者のために、我々がどれだけサポートしているか理解してほしい」と繰り返し強調しました。
alt国民健康保険制度のイメージ
しかし、本当にそうでしょうか?無職者が多い国保加入者の中でも、自営業者やフリーランスの方々は、社会保険加入者同様に、そして時にはそれ以上に社会に貢献しているのではないでしょうか。
医療費の“消費”:国保加入者への偏見?
さらに、この医師は「保険料を下げれば医療費も下がる。低福祉・低負担を選択するのは国民の自由だ」と続けました。そして、「国保加入者は医療を“消費”している」とまで言い切りました。社会保険加入者に比べて医療費の利用が多いのは事実かもしれませんが、それを“消費”という言葉で片付けてしまうのは、あまりにも一方的な見方ではないでしょうか。
病気や怪我は誰にでも起こりうることです。医療費の利用が多いのは、国保加入者に高齢者や持病を持つ方が多いという構造的な要因も影響しています。それを“消費”と表現し、国保加入者全体の責任とするのは、適切ではないと考えます。
国民健康保険料問題の核心:制度設計の歪み
国民健康保険料の高騰は、単に加入者の医療費利用が多いからではありません。制度設計そのものに歪みがあることが、大きな問題となっています。例えば、保険料の算定基準となる所得には、年金収入が含まれます。高齢で年金収入しかない世帯でも、高額な保険料を負担せざるを得ないケースも少なくありません。
また、自治体ごとの財政力格差も、保険料の地域差に繋がっています。財政力の弱い自治体では、保険料が高額になりがちです。これは、国民皆保険制度の理念に反するのではないでしょうか。
今後の展望:公平で持続可能な制度へ
国民健康保険制度は、国民の健康を守る上で重要な役割を果たしています。しかし、現状のままでは、制度の持続可能性が危ぶまれます。公平で持続可能な制度とするためには、抜本的な改革が必要です。
例えば、保険料の算定基準の見直しや、国庫負担金の増額などが検討されるべきでしょう。また、医療費の適正化に向けた取り組みも重要です。
食生活改善指導や健康診断の受診率向上など、予防医療の充実も欠かせません。国民一人ひとりが健康意識を高め、健康寿命を延ばすことで、医療費の抑制に繋がるはずです。
国民健康保険料問題の解決には、国民全体で議論し、より良い制度を築き上げていく必要があります。