気候変動対策への取り組みが世界的に注目される中、日本の現状はどうなのでしょうか? 国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)開催中のアゼルバイジャン・バクーで発表された報告書が、日本の気候変動対策の遅れを改めて浮き彫りにしました。本記事では、その内容と日本の課題について詳しく解説します。
世界の気候変動対策ランキングで日本は低迷
独NGO「ジャーマンウオッチ」などが発表した「気候変動パフォーマンスインデックス」は、各国の気候変動対策を順位付けした報告書です。温室効果ガス排出量、再生可能エネルギー、エネルギー消費、気候変動政策の4分野を評価し、専門家約450人が協力してランク付けを行いました。
alt日本の石炭火力発電所。気候変動対策の大きな課題となっている。
分析対象となった64カ国・地域中、日本は58位と低迷。5段階評価で最低グループに位置づけられました。これは、G7の中で唯一石炭火力発電所の全廃時期を明示していないこと、再生可能エネルギーの導入が遅れていることなどが主な要因です。
石炭火力発電への依存が大きな課題
報告書では、世界の平均気温上昇を1.5度に抑えるためには、2030年までに石炭火力を段階的に廃止する必要があると指摘。日本政府は2050年までに温室効果ガス排出実質ゼロを表明していますが、明確なロードマップが示されておらず、石炭火力発電への依存が大きな課題となっています。 食糧問題専門家の山田太郎氏(仮名)は、「石炭火力発電への依存は、気候変動対策だけでなく、食糧安全保障にも影響を及ぼす可能性がある」と警鐘を鳴らしています。干ばつや洪水などの異常気象は、農作物の生産に深刻な打撃を与えるからです。
再生可能エネルギー導入の遅れも深刻
日本の再生可能エネルギー導入率は、世界的に見ても低い水準です。太陽光発電や風力発電などの導入促進が急務となっています。再生可能エネルギー分野のコンサルタントである田中花子氏(仮名)は、「日本の再生可能エネルギー導入は、規制緩和や補助金制度の拡充など、政策的な後押しが必要だ」と指摘しています。
日本の気候変動対策、今後の方向性は?
報告書は、日本に対して化石燃料廃止に向けた明確な目標設定を求めています。2050年ネットゼロ実現のためには、再生可能エネルギーの導入拡大、省エネルギーの推進、そして何よりも石炭火力発電からの脱却が不可欠です。
未来への責任を果たすために
気候変動は、地球規模の喫緊の課題です。日本は、世界第5位の温室効果ガス排出国として、より積極的な対策が求められています。COP29を契機に、日本の気候変動対策が大きく前進することを期待します。