リオデジャネイロの陽気なサンバのリズムと爽やかな海風とは裏腹に、2023年11月18~19日に開催されたG20サミットは、混沌とした国際情勢を改めて浮き彫りにしました。首脳宣言の発表は、ウクライナ紛争や中東情勢をめぐる対立により難航し、ルラ大統領の苛立ちを露わにする異例の事態となりました。特に、米国とその同盟国にとっては、消化不良のサミットとなったと言えるでしょう。
深まる亀裂:ウクライナ侵攻と混迷する世界情勢
サミット開催直後には、ウクライナによるロシア領内へのミサイル攻撃という衝撃的なニュースが世界を駆け巡りました。ロシアの核報復の可能性への懸念も再燃し、市場は大きく動揺。国際社会の緊張は、かつてないほど高まっています。
G20サミットは、本来「西側諸国とその他」の結束を世界に示す場であるはずでした。しかし、今回のサミットは、国際秩序の崩壊がいかに急速に進んでいるかを如実に示す結果となりました。北朝鮮兵の欧州での戦闘参加、イスラエルとハマス・ヒズボラの対立激化、中国による台湾周辺での軍事演習の常態化、そして核の脅威の増大…。世界は、まさに「火薬庫」と化していると言えるでしょう。
G20首脳の集合写真(リオデジャネイロ)
集団写真に見る世界の分断:演出された結束の虚しさ
サミット初日の集合写真撮影は、この世界の分断を象徴する出来事でした。バイデン米大統領、トルドー・カナダ首相、メローニ・イタリア首相が、慣例となっている「家族写真」撮影を欠席。米国側は「手配上の問題」と説明しましたが、主催者側はバイデン大統領の遅刻が原因だと主張しました。
ルラ大統領は19日に写真の撮り直しを要請し、バイデン大統領も参加。しかし、背景にはリオの象徴であるシュガーローフマウンテンの代わりに人工的な背景が使用されました。この演出は、世界の結束が虚構に覆われている現実を、皮肉にも際立たせる結果となりました。
混迷の時代:G20の未来と国際協調の行方
国際政治アナリストの山田一郎氏(仮名)は、「今回のG20サミットは、国際協調の難しさを改めて示した。各国が自国の利益を優先するあまり、世界全体の安定が脅かされている」と指摘します。
世界は今、岐路に立たされています。トランプ前大統領のホワイトハウス復帰の可能性も視野に入れ、G20は、いかにして国際協調の枠組みを維持していくのか。その真価が問われています。
G20首脳会議の様子
世界平和への道は険しい道のりですが、対話と協調こそが、この難局を乗り越える鍵となるはずです。