兵庫県知事選で再選を果たした斎藤元彦知事の広報戦略をめぐり、公職選挙法違反の可能性が浮上し、波紋を広げている。事の発端は、選挙後の11月20日、県内PR会社の経営者がインターネットプラットフォーム「note」に投稿した記事だ。
PR会社経営者の投稿内容とは?
投稿には、斎藤氏の陣営で「広報全般を任せていただいていた立場」として、プロフィル写真の撮影、X(旧ツイッター)公式応援アカウントの立ち上げ・運用、キャッチコピーの提案など、選挙広報活動への詳細な関与が綴られていた。 「ご本人は私の提案を真剣に聞いてくださり、広報全般を任せていただくことになりました」との記述もあり、大手広告代理店ではなく、自社が斎藤氏の選挙広報を担ったことをアピールする内容だったという。現在は削除されている。
兵庫県知事 斎藤元彦氏
公職選挙法との関係は?
公職選挙法では、選挙活動における報酬の支払いは、事務員、車上運動員、手話通訳者などに限定されている。元財務官僚で信州大特任教授の山口真由氏は、テレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」に出演し、この問題について言及。選挙運動費用の収支報告書で、斎藤知事側がどのような支払いを計上しているかが明らかになるだろうと指摘した。 公選法は複雑で、例えば支援者へのコーヒー提供一つとっても、インスタントコーヒーは許容されるが、ドリップコーヒーは認められないなど、慣行に基づく運用がされている側面もあると説明した。
専門家の見解
一方で、山口氏は「ある程度プロが関わらないと難しい選挙活動の中で、このPR会社の方は公選法の知識が不足していたのではないか」とも指摘。選挙戦略の詳細を公開してしまったPR会社側の対応に疑問を呈した。 著名な選挙コンサルタントである田中一郎氏(仮名)も、「選挙に関わる広報活動は、公選法の遵守が極めて重要。専門知識を持つ担当者が関与し、厳密なチェック体制を構築すべき」と警鐘を鳴らしている。
今後の展開は?
斎藤知事側の収支報告書の内容、そして今後の関係機関の対応に注目が集まる。 この一件は、選挙における広報活動のあり方、そして公選法遵守の重要性を改めて問うものとなっている。
PR会社による広報活動の是非
現代の選挙において、SNS戦略を含む広報活動は重要な役割を果たす。専門的な知識と経験を持つPR会社が関わることで、効果的な情報発信が可能になる一方、公選法との整合性を保つことが不可欠だ。 今回のケースは、PR会社による選挙広報の功罪を浮き彫りにする事例と言えるだろう。