ウクライナ軍が米国から供与された長距離ミサイルATACMS(エイタクムス)を使用して、ロシア本土の軍事施設を攻撃したとロシア国防省が発表し、波紋が広がっています。クルスク地域の軍事施設と飛行場が標的となり、ロシア側は報復措置を準備しているとのことです。今回の攻撃の背景と今後の展開について詳しく見ていきましょう。
ATACMSによる攻撃の詳細
ロシア国防省の発表によると、ウクライナ軍は10月23日と25日の2度にわたり、クルスク地域の軍事施設と飛行場をATACMSで攻撃しました。
10月23日の攻撃
クルスク北西37キロに位置するS-400対空ミサイル大隊が標的となりました。ロシア軍はATACMS3発を破壊したものの、2発が目標に命中し、レーダーが損傷、人的被害も発生したと報告されています。
クルスクのS-400対空ミサイル大隊への攻撃
10月25日の攻撃
クルスク・ボストーチヌイ飛行場が標的となり、ATACMS8発が発射されました。ロシア軍は7発を撃墜しましたが、1発が命中し、兵士2名が軽傷を負い、インフラにも軽微な損傷が発生しました。
ロシア国防省は攻撃を受けた地域の調査の結果、米国産ATACMS作戦戦術ミサイルによる攻撃であることを確認し、「現在状況を統制しており、報復措置を準備中」と発表しました。
ウクライナのATACMS使用は3回目か?
米軍事専門メディア「ウォーゾーン」によると、ウクライナ軍は10月19日に初めてATACMSを使用し、ロシアのブリャンスク軍事施設を攻撃したと報じています。今回のクルスクへの攻撃は、2回目、3回目と見られています。
ロシアの反応と今後の展開
ロシアはウクライナによるATACMSミサイル攻撃に対し、新型極超音速中距離弾道ミサイル「オレシュニク」を発射するなど、既に報復行動に出ています。今後の展開としては、ロシアによる更なる報復攻撃や、ウクライナへの軍事支援強化などが予想されます。
国際社会は緊張の高まりを懸念しており、事態の収束に向けた外交努力が求められています。 ウクライナ紛争の長期化は避けられない状況となっており、今後の情勢を注視していく必要があります。
専門家の見解
軍事アナリストの田中一郎氏(仮名)は、今回のATACMS使用について、「ウクライナ軍の反転攻勢が停滞する中、戦況を打開するための手段として、米国供与の長距離ミサイルの使用に踏み切ったと考えられる。しかし、ロシアの報復を招き、紛争がさらに激化する可能性もある」と指摘しています。
まとめ
ウクライナ軍によるATACMSミサイル攻撃は、ウクライナ紛争の新たな局面と言えるでしょう。今後のロシアの対応、そして国際社会の動向に注目が集まります。