パキスタンの首都イスラマバードで、収監中のイムラン・カーン元首相の釈放を求める大規模デモが勃発し、治安部隊との衝突により多数の死傷者が出ている事態となっています。緊迫した状況の中、今後の展開に世界が注目しています。
イムラン・カーン元首相釈放デモ、暴力衝突の背景
汚職などの罪で収監されているイムラン・カーン元首相の釈放を求めて、24日からパキスタン各地で抗議活動が始まりました。首都イスラマバードには1万人以上のデモ隊が集結し、治安部隊との間で激しい衝突が繰り返されています。カーン元首相は、クリケットの英雄から政界に転身し、2018年に首相に就任しましたが、2022年に不信任決議で失職。その後も国民からの高い支持を維持しており、今回のデモもその人気を反映したものと言えます。
治安部隊の強制排除、多数の死傷者
26日夜、軍と治安当局はデモ隊の強制排除に乗り出しました。現地メディアによると、一晩で約1000人が拘束されたとのことです。イギリスの有力紙「ガーディアン」は、当局筋の情報として、民間人17人が銃撃され死亡、数百人が負傷したと報じています。
パキスタンのデモの様子
パキスタン政府はデモ隊への発砲を否定していますが、「ガーディアン」は、政府関係者が死傷者の記録を隠蔽しようとしている可能性があると指摘しています。南アジア政治の専門家、田中一郎氏(仮名)は、「情報統制が行われている可能性が高く、正確な被害状況の把握は難しい」と述べています。
デモの激化、治安部隊にも多数の死傷者
暴徒化したデモ参加者による攻撃で、治安部隊にも多数の死傷者が出ているとみられています。治安部隊は催涙ガスや放水銃を使用し、デモ隊の鎮圧を試みていますが、衝突は激化しています。一部のデモ参加者は、公共施設や車両を破壊するなど、過激な行動に出ているとの報道もあります。
パキスタンの政情不安、今後の影響は
今回のデモは、パキスタンの政情不安を改めて浮き彫りにしました。カーン元首相の人気は依然として高く、政府への反発は根強いものがあります。今後の政情の行方は不透明であり、経済への影響も懸念されています。国際社会からの圧力も高まっており、パキスタン政府は難しい対応を迫られています。 食料安全保障の専門家、佐藤花子氏(仮名)は、「政情不安の長期化は、食料供給にも影響を及ぼす可能性がある。特に貧困層への影響が懸念される」と述べています。
まとめ:混乱続くパキスタン、事態の収束はいつ
イムラン・カーン元首相の釈放を求めるデモは、流血の事態に発展し、パキスタンの政情不安は深刻化しています。今後の動向に注目が集まっています。