「日本人は大好きだけど、もう限界です…」『ハッピーケバブ』在日クルド人の社長が悲鳴、親日感情をへし折る”ヘイト行為”の実態「理由もないのにパトカーを呼ばれて…」「脅迫めいた電話が100回以上」


 こうした背景から、欧米諸国では彼らを難民として受け入れているところもあり、約30年前から日本にも埼玉県南部を中心に、相次いでクルド人が暮らすようになっていた。

 現在、日本においてはトルコ国籍の外国人が6000人近く暮らしており、うち約2000人がトルコ系クルド人といわれる。その多くが埼玉県川口市や蕨市に定住し、クルド人の人口は過去10年間で4倍にまで増加したともいわれている。

 そんななか、近年問題になっているのが、この地域に住む在日クルド人への排斥デモやヘイトスピーチだ。

 背景には、2023年7月に発生した川口市立医療センターでのクルド人による乱闘騒ぎがあるとされる。複数人が重軽傷を負う殺人未遂事件になったが、その一連の騒動を収めた動画がSNSを中心に拡散され、これをきっかけにSNS上でクルド人を非難するような投稿が目立つようになった。

 さらに直近ではSNS上で改造車に乗って暴走行為を繰り返す若いクルド人や、女子中学生に性的暴行をしたとして逮捕された日本育ちのクルド人などが話題となり、一部で批判の的になっている。

 こうした現状に「日本人はみんな優しくて大好きですけど、もう限界です……」と漏らすのは、10年以上日本で暮らすタシ・ティフィキさん(32)だ。

ヘイト行為の実害「迷惑電話が100回以上」「理由なく警察を呼ばれて…」

「今年に入ってからもう100回以上、脅迫みたいな電話が店にかかってきます。あまりにもしつこいので、電話は録音するようにして防犯カメラも取り付けました。ほかにも『違法駐車している』と言いがかりの通報をして、パトカーを店の前に呼ばれたこともありました」

 実際にタシさんが録音した音声を聞くと、「お前らクルド人が迷惑なんだよ。日本から出ていけって言ってんだよ、ボケ!」「犯罪行為ばっかりしやがってよ」と激昂した男性の声が。また昨年12月、防犯カメラにはサングラスをかけた日本人の男が店の前に現れ、突然両手にスマホを掲げて店内を撮影したあと「喧嘩売ってんの?」「警察呼ぶか?」と店員に言い放ち、その場を去っていく様子も残されていた。

 SNS上だけにとどまらないクルド人に対するヘイト行為。タシさんは今の日本の状況に限界を感じているという。

「日本には思い出もたくさんあるけど、もう故郷のトルコに帰りたいという気持ちもあります。もちろん悪いことをするクルド人もいるけど、それはほんの一部。日本人だって犯罪する人はいるのに、なぜ『クルド人だ』というだけで、差別されなければならないのか……。

 一部のクルド人のせいで批判があることもわかっています。だからこの辺りのコミュニティに属している人は、改造車に乗ったりするクルド人を取り締まるためにパトロールなどもします。私は法人税だって数千万円払っているし、能登の震災の時はボランティアだってした。日本人の友達も多いし、大好きだけどこのままだともう日本にはいられないかもしれない」

 11月11日、在日クルド人の団体は裁判所に、団体の事務所付近でのヘイトスピーチなどの禁止を求める仮処分を申し立て、さいたま地裁は21日、事務所から半径600メートルの範囲でクルド人を侮辱するなどのヘイトデモを禁ずる命令を出している。これを受け日本クルド文化協会のチカン・ワッカス代表は「私達にとって大きな一歩であり、未来への希望を繋ぐものです」とコメントした。

 SNS上だけでなく、可視化されるクルド人へのヘイト問題。今後、どういった展開を見せるのか──。



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