アメリカとメキシコ、カナダの関係に暗雲が立ち込めている。ドナルド・トランプ前大統領がメキシコとカナダからの輸入品に関税を引き上げると表明したことに対し、現職のジョー・バイデン大統領は懸念を表明した。この動きは、北米3カ国の経済関係に大きな影響を与える可能性があり、今後の展開が注目される。
バイデン大統領、関税引き上げは「逆効果」と批判
バイデン大統領はマサチューセッツ州での記者会見で、トランプ前大統領の関税引き上げ表明について「逆効果だ」と批判し、考え直すよう求めた。彼は「アメリカはメキシコとカナダという2つの重要な友好国に恵まれている。これらの国々との関係を損なうことは、アメリカの利益に反する」と述べ、北米3カ国の協力関係の重要性を強調した。
バイデン大統領
トランプ前大統領、不法移民対策として関税引き上げを主張
一方、トランプ前大統領は不法移民と麻薬の流入を阻止するために、メキシコとカナダからの全ての輸入品に25%の関税を課す必要があると主張している。彼は以前から、両国からの不法移民問題に強硬な姿勢を示しており、今回の関税引き上げもその一環とみられる。
メキシコ大統領との電話会談、両者の主張に食い違い
トランプ前大統領はメキシコのシェインバウム大統領と電話会談を行い、会談後、自身のSNSで「メキシコが移民の流入を阻止し、国境を事実上、閉鎖することに同意した」と発表した。しかし、シェインバウム大統領は、トランプ前大統領に「移民問題への包括的な戦略を説明した」としながらも、「国境を閉鎖するのではなく、両国政府と国民の架け橋を築く」と述べており、両者の主張には食い違いが見られる。
トランプ前大統領
北米経済への影響懸念、今後の動向に注目
トランプ前大統領の関税引き上げ表明は、北米自由貿易協定(NAFTA)の後継協定であるUSMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)の精神にも反する可能性があり、北米経済全体に悪影響を及ぼすことが懸念されている。国際経済学者である山田太郎氏(仮名)は、「関税引き上げは貿易摩擦を激化させ、3カ国間の経済関係を悪化させる可能性がある。冷静な対話を通じて、建設的な解決策を見出すことが重要だ」と指摘している。今後の動向に注目が集まる。
北米3カ国の貿易摩擦は、世界経済にも大きな影響を与える可能性がある。今後の展開によっては、国際社会の安定を揺るがす事態に発展する可能性も否定できない。引き続き、関係各国の動向を注視していく必要がある。