参院選で自民党が惨敗し、石破茂首相(党総裁)の退陣が避けられない情勢となったことを受け、「ポスト石破」に向けた動きがにわかに活発化し始めた。昨年の総裁選で首相に敗れた高市早苗前経済安全保障担当相と小林鷹之元経済安保担当相は23日、東京都内でそれぞれ会合を開いた。首相退陣を見据えた今後の対応を協議したとみられる。
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高市氏は同日、東京・赤坂の議員宿舎で前回総裁選で支援を受けた議員ら約10人と会合を開いた。また、高市氏は党最高顧問の麻生太郎元首相とも国会内で面会した。
参院選最中の18日、高市氏は地元の奈良県で行った応援演説で「私なりに腹をくくった。もう一回、自民党の背骨を入れ直す。そのために戦う」と語り、次期総裁選への意欲を示した。ただ、この発言に対しては党内から「選挙期間中に言うことではない」と冷ややかな声も上がった。
このため、高市氏は周囲に「SNSでの発言もよほど政策的に訴えたいことがない限りしないようにする」と話す。総裁選への出馬の是非や首相を批判するような発信は控え、慎重に動く構えだ。
一方、小林氏も23日、国会内で自身に近い議員と会合を開いた。出席議員は「参院選の総括をしただけだ」と説明したが、今後を見据えた対応を話し合った可能性もある。
今回の参院選で自民が大敗した要因の一つとして、これまで自民を支持してきた岩盤保守層の離反が加速したことが挙げられる。それだけに、党内には保守派として知られる高市、小林両氏への期待は根強い。
だが今後、首相が退陣して総裁選が行われても両氏が出馬した場合、党内の保守系議員の票の奪い合いとなり、共倒れになる懸念も指摘される。中堅議員は「保守派が割れるようなことはあってはならない。そうならないよう対応をよく考えないといけない」と話す。(長橋和之、今仲信博)