韓国の防空識別圏(KADIZ)に、中国とロシアの軍用機計11機が進入したというニュースが、再び緊張を高めています。2024年11月29日、午前9時35分頃から午後1時50分過ぎにかけて、中国軍用機5機とロシア軍用機6機が、朝鮮半島東側の東海(日本海)上空と南側の海上からKADIZに進入し、その後離脱したと、韓国軍合同参謀本部が発表しました。領空侵犯は確認されていないとのことですが、周辺国の安全保障に対する懸念が再燃しています。
中露の共同行動?KADIZ進入の背景を探る
今回のKADIZ進入は、中国とロシアの協調行動を示唆している可能性があり、その背景に注目が集まっています。近年、両国は軍事協力関係を強化しており、合同軍事演習なども実施しています。このような動きは、東アジア地域の安全保障環境に複雑な影を落としています。専門家の中には、「中露両国は、日米韓の連携を牽制する狙いがあるのではないか」と指摘する声も上がっています。(国際安全保障研究所 田中一郎氏談)
韓国軍戦闘機(イメージ画像)
韓国軍の対応と今後の展望
韓国軍合同参謀本部は、中国とロシアの軍用機がKADIZに接近する前からその動きを把握しており、空軍の戦闘機を緊急発進させて対応にあたったと発表しました。偶発的な事態に備え、万全の態勢で警戒にあたっていたことが伺えます。しかし、KADIZへの度重なる進入は、韓国のみならず、日本を含む周辺国にとっても看過できない問題です。今後の動向に注視するとともに、関係国間の緊密な連携による、効果的な抑止力強化が求められます。
KADIZとは?改めて理解を深めよう
KADIZ(Korea Air Defense Identification Zone)とは、韓国の防空識別圏のことです。防空識別圏は、自国の領空の外側に設定された空域で、航空機の識別と位置確認を行うためのものです。KADIZへの進入自体は国際法違反ではありませんが、事前の通報なしに進入することは、安全保障上の懸念材料となります。特に、近年増加している中露軍用機によるKADIZ進入は、地域情勢の不安定化を招く恐れがあり、国際社会からの批判も強まっています。(防衛省関係者談)
今後の東アジア情勢は、米中露の戦略的競争、北朝鮮の核・ミサイル開発など、不確定要素が多く、予断を許しません。KADIZへの軍用機進入問題も、この複雑な国際情勢を反映した一面と言えるでしょう。関係各国は、冷静な対応と対話を重ね、緊張緩和に向けた努力を続けることが重要です。