フィリピン近海でロシアの最新鋭攻撃型潜水艦が確認され、フィリピン軍が追跡するという異例の事態が発生しました。一体何が起こっているのでしょうか?この記事では、事件の経緯とその背景にある地政学的緊張について詳しく解説します。
事件の概要:謎の浮上とフィリピン軍の対応
先月28日、フィリピン西ミンドロ州沖で、ロシア海軍のキロ級攻撃型潜水艦「ウファ」がフィリピン軍によって捕捉されました。驚くべきことに、「ウファ」は異例の水上航行を行っており、週末まで北上を続けフィリピン領海を通過したと報じられています。なぜ「ウファ」が浮上したのか、その理由は未だ不明です。フィリピン海軍は即座に護衛艦と航空機を派遣し、「ウファ」の追跡・監視を開始しました。
altフィリピン近海を航行するロシア海軍キロ級潜水艦のイメージ
「ウファ」とは?:静粛性の高い最新鋭潜水艦
「ウファ」は、2016年に締結された太平洋艦隊向け6隻の新型ディーゼル・電力エンジン潜水艦建造事業によって建造された4番艦です。世界最高レベルの静粛性を誇り、「ブラックホール」の異名を持つほど。水上・水中目標の破壊、哨戒・偵察など、幅広い任務を遂行できる能力を備えています。全長74メートル、排水量3900トンで、最大45日間の作戦行動が可能です。
背景にある地政学的緊張:ロシアの東南アジアにおける活動活発化
米海軍研究所(USNI)によると、「ウファ」は先月23日にマレーシアのコタキナバル海軍基地を訪問した後、南シナ海で活動を開始。最終的にはカムチャツカ半島にあるロシア太平洋艦隊の潜水艦基地へ帰投する予定とされています。
altロシア海軍キロ級潜水艦「ウファ」
ロシア海軍は近年、東南アジア諸国との関係強化を図っており、南シナ海での活動を活発化させています。先月初めにはインドネシア海軍とジャワ海で初の合同軍事演習を実施。7月には中国海軍とも南シナ海で合同演習を行い、艦砲射撃、対潜水艦戦闘、海上交戦など、約30の演習項目を実施しました。
こうしたロシアの動きと時を同じくして、米原子力空母「エイブラハム・リンカーン」を旗艦とする空母打撃群が南シナ海で活動していることも報じられています。南シナ海における米中露の駆け引きは、今後ますます激化していく可能性があります。
まとめ:南シナ海の緊張は続く
今回の「ウファ」の出現は、南シナ海における緊張の高まりを改めて示すものとなりました。ロシアの真意、そして今後の東南アジア情勢の行方から目が離せません。