韓国で非常戒厳令発令!尹大統領、野党批判の中で緊急措置

韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は2024年12月3日夜、国民に向けた緊急談話を発表し、非常戒厳令を発令しました。談話の中で尹大統領は、政権発足以来、多数の政府官僚に対する弾劾訴追が発議されるなど、国政運営が麻痺状態にあることを理由に挙げ、自由憲政秩序を守るための措置だと強調しました。この突然の発表は、韓国社会に大きな衝撃を与えています。

戒厳令発令の背景:混迷を深める韓国政局

尹政権は2022年の発足以来、支持率が低迷し、4月の総選挙では与党が敗北。国会では野党が過半数を占める状況となり、国政運営は難航を極めていました。尹大統領は、最大野党「共に民主党」を中心とした野党の行動を強く批判し、弾劾訴追や予算案をめぐる対立が国家機関を混乱させ、内乱を画策する反国家行為だと非難しました。

ソウルのバスターミナルで2024年12月3日、尹錫悦大統領の演説をテレビで見守る人々ソウルのバスターミナルで2024年12月3日、尹錫悦大統領の演説をテレビで見守る人々

韓国の著名な政治学者、パク・ミンソク氏(仮名)は、「今回の戒厳令発令は、行き詰まった政局を打開するための苦肉の策と言えるでしょう。しかし、民主主義国家において、戒厳令という強硬手段に訴えることは、大きなリスクを伴います」と指摘しています。

戒厳令下の国民生活:広がる不安と混乱

戒厳司令官は、政治活動の禁止やメディア統制を含む布告令を発出。集会やデモはもちろん、言論の自由にも制限が加えられることになります。政府は善良な市民の日常生活への影響を最小限に抑えるとしていますが、国民の間には不安が広がっています。

過去の戒厳令と光州事件:暗い記憶が蘇る

韓国では過去にも、1961年の軍事クーデターや80年代前半に戒厳令が発令された歴史があります。特に1980年5月の光州事件では、戒厳令下で民主化を求める市民に軍が発砲し、多数の死傷者が出ました。今回の戒厳令発令は、こうした過去の暗い記憶を蘇らせ、国民の不安をさらに増幅させています。

今後の韓国情勢:予断を許さない状況

尹大統領は、北朝鮮の脅威と自由憲政秩序の維持を戒厳令発令の理由としていますが、野党は独裁政治への回帰だと強く反発しています。今後の韓国政局は、さらに混迷を深める可能性があり、予断を許さない状況です。

今回の非常戒厳令発令は、韓国社会に大きな波紋を広げています。今後の展開に注目が集まります。