マイナンバーカードを健康保険証として利用できる「マイナンバーカード保険証」。利便性向上を目指して導入されましたが、現場では混乱が生じており、その有効性について疑問の声が上がっています。本記事では、医療現場におけるマイナンバーカード保険証の現状と課題、そして本当に便利なシステムなのかどうかを探ります。
医療現場の声:トラブル続出の実態
全国保険医団体連合会(保団連)の調査によると、多くの医療機関でマイナンバーカード保険証に関するトラブルが発生していることが明らかになりました。2024年5月以降も、システムの不具合やエラーが続いているという報告が相次いでいます。
マイナンバーカードとカードリーダー
「マイナンバーカード保険証のオンライン資格確認でエラーが出て、診療を受けずに帰ってしまう患者さんもいる」と保団連事務局次長の本並省吾氏は語ります。このようなトラブルは、患者の健康に深刻な影響を与える可能性があるため、早急な対策が必要です。
トラブルの種類と原因
マイナンバーカード保険証で発生するトラブルは多岐に渡ります。代表的な例としては、常用漢字以外の文字が表示されない、カードリーダーの接続不良、保険証情報の更新が反映されないなどが挙げられます。
「『山﨑』の『﨑』のような常用漢字以外の文字が『●』と表示されることがよくある」と本並氏は指摘します。受付担当者は患者に漢字を確認する必要があり、診察までの待ち時間が長くなってしまう原因となっています。
また、カードリーダーの接続不良も頻繁に発生しています。「午前中の診療開始時に、全国の医療機関が一斉にサーバーにアクセスするため、サーバーがダウンしたり、処理速度が遅くなったりする」という声も聞かれます。
利用率の低迷
マイナンバーカード保険証の利用率は、国民全体で13.87%、国家公務員でも13.58%(2024年9月時点)と低迷しています。トラブルの多発に加え、操作の煩雑さも利用率が上がらない要因の一つと考えられます。
現場の負担:車いす利用者や高齢者への対応
北原医院(大阪府守口市)の医師、井上美佐氏は、「車いすの方や認知症のある高齢者にとって、マイナンバーカード保険証の操作は困難だ」と訴えます。
車いす利用者の場合、座ったままではカードリーダーにカードが届かないため、介助者が抱えて顔認証を行う必要があります。しかし、一度で認証されることは稀で、何度も抱え直す必要があるため、大きな負担となっています。
認知症の高齢者の場合、顔認証画面に顔を向けることが難しく、暗証番号も覚えていないことが多いのが現状です。
本当に便利?今後の展望
マイナンバーカード保険証は、過去の診療情報や処方歴を確認できるなど、利便性が高いシステムであることは間違いありません。しかし、現状ではトラブルが多発しており、医療現場に混乱を招いていることも事実です。
システムの安定化、操作性の改善、そして利用者への丁寧なサポート体制の構築が不可欠です。真に便利なシステムとなるためには、これらの課題解決に向けた取り組みが求められます。
まとめ:更なる改善が必要
マイナンバーカード保険証は、医療のデジタル化を推進する上で重要な役割を担っています。しかし、現状では医療現場の負担を増大させている側面も否めません。システムの安定化、操作性の向上、そして利用者へのサポート体制の強化など、更なる改善が必要です。
この記事が、マイナンバーカード保険証の現状と課題について理解を深めるきっかけになれば幸いです。ぜひ、ご意見やご感想をお聞かせください。また、jp24h.comでは、様々な社会問題や生活情報について発信しています。他の記事もぜひご覧ください。