日本で暮らす日系人や在留外国人の高齢化が進む中、彼らの生活習慣や文化に寄り添った介護施設の必要性がますます高まっています。そんな中、千葉県木更津市に在留外国人高齢者向けの介護施設が開設される予定で、大きな注目を集めています。2025年の開設を目指し、準備が進められているこの施設は、日本で暮らす外国人高齢者にとって、まさに朗報と言えるでしょう。
高まる在留外国人高齢者への介護ニーズ
1990年の入管法改正により「定住者」の在留資格が新設されてから35年。日本に根を下ろし、高齢期を迎える日系人や在留外国人は増加の一途を辿っています。厚生労働省の統計によれば、2023年末時点で在留外国人の数は約296万人。その中で65歳以上は約46万人と、高齢化は着実に進んでいます。
alt: 高齢の外国人夫婦が笑顔で会話している様子
彼らは日本語でのコミュニケーションに不安を抱える方も多く、日本の伝統的な介護施設では生活習慣の違いから馴染めないケースも少なくありません。母国語で安心して過ごせる環境、慣れ親しんだ食事、そして文化的な理解に基づいた介護サービスへのニーズは、日に日に高まっているのです。
木更津市の旧特養施設を改修、新たな希望の光に
今回開設される介護施設は、以前特別養護老人ホームとして利用されていた建物を改修する予定です。この施設の特徴は、利用者だけでなく、介護職員も日系人や在留外国人を積極的に採用する点です。言葉の壁をなくし、文化的な背景を理解した上で、きめ細やかな介護サービスを提供することで、入居者の方々が安心して生活できる環境を目指しています。
ブラジルでの日系老人ホームの歴史を参考に
ブラジルでは、1958年に初めての日系老人ホーム「憩の園」が設立されました。その後も多くの施設が誕生し、日系高齢者の生活を支えてきました。これらの成功事例を参考に、日本の在留外国人高齢者にも最適な介護を提供することが期待されています。
alt: 木更津市の旧特養施設の外観
2025年開設へ、準備着々
一般社団法人「日本海外協会」の林隆春代表理事は、「働けなくなったら、また介護が必要になったらどうなるのか。在留外国人の不安や心配、淋しさに寄り添い、少しでも応えていく施設運営を目指しています」と語っています。現在、運営母体や問い合わせ先などの詳細を詰めている段階で、正式に決定次第、発表される予定です。
在留外国人高齢者の未来を明るく照らす
高齢化社会が進む日本において、在留外国人高齢者への支援は、社会全体の課題となっています。「日本で老後を安心して過ごしたい」という彼らの願いを叶えるため、木更津市の新たな介護施設は、大きな一歩となるでしょう。今後、この施設をモデルケースとして、全国各地で同様の取り組みが広がることを期待したいところです。