教職調整額の引き上げをめぐり、文部科学省と財務省の案が対立し、大きな議論を呼んでいます。給与アップは喜ばしいものの、現場の教師たちは本当にそれを望んでいるのでしょうか? 本記事では、クジラボによる教員へのアンケート調査結果を元に、教師たちの本音を探ります。
教職調整額アップで教員志望者は増える? 現場の声は…
クジラボが現役教員259名を対象に行った調査によると、教職調整額の引き上げによって教員志望者が増えると思うかという問いに対し、約96%が「増えない」と回答しました。
教員不足のイメージ
多くの教師が待遇改善よりも、過酷な労働環境の改善を切望している現状が浮き彫りになりました。教員不足解消の鍵は、待遇面だけでなく、働き方改革にあると言えるでしょう。
教師が仕事を辞めたい理由:待遇より「業務量」と「教育外業務」
「先生を辞めたいと思ったことがある」と回答した教員の多くは、その理由として「業務量の多さ」(68.9%)と「教育以外の業務の割合の多さ」(59.2%)を挙げています。「給与や待遇面」を理由に挙げた人はわずか35.3%でした。
10年後も教師を続けたくないという回答者も、働き方改革への期待を寄せています。約半数が「教育以外の業務の軽減や削減」があれば続けたいと回答し、「給与や待遇の改善」を求めた人は14.6%にとどまりました。
教職調整額の引き上げで教師を続けたい意向に変化があるかという質問にも、83.9%が「変化はない」と回答。待遇改善よりも、働き方改革が喫緊の課題であることが改めて示されました。
財務省案への期待と不安:本当に働き方改革は進むのか?
財務省は働き方改革を条件に教職調整額を段階的に引き上げる案を提示しています。しかし、この案に期待できるかという問いに対し、83%の教員が「期待できない」と回答しました。
主な理由として、「業務量は変わらず、結局仕事を家に持ち帰ることになる」「学校現場は変化に抵抗がある」「会議の短縮やペーパーレス化など業務削減策が先決」といった声が挙がっています。教育内容の多さや、教員間で重視する業務の違いなども、働き方改革を難航させる要因として指摘されています。
さらに、働き方改革の推進に外部の人材が関与していないことも、改革が表面的なものに終わる可能性を高めているとの懸念も示されました。
教員不足解消の鍵は「強力なリーダーシップ」と「抜本的な改革」
教員不足の解消は容易ではありません。一人ひとりの教師の努力だけでは限界があり、校長をはじめとするリーダーシップが不可欠です。学習指導要領の見直しなど、抜本的な改革も必要でしょう。 給特法改正の議論は長年にわたり続けられてきましたが、今回の議論を機に、真の働き方改革が実現することを期待します。