兵器開発に多額を投じる中国、印パ紛争は初の大きな試練か


【映像】インドのパキスタン攻撃、着弾の瞬間とらえた映像浮上

中国のAVIC成都飛機工業の株価は今週、40%上昇した。パキスタンは7日に発生した空中戦の際、AVIC製のJ10C戦闘機でインドの作戦機を撃墜したと主張しており、その中には高度な仏製ラファール戦闘機も含まれる。

インドはパキスタンの主張に答えておらず、航空機の喪失も一切認めていない。中国外務省の報道官は8日、中国製戦闘機の関与について聞かれ、状況を詳しく把握していないと説明した。

ただ、パキスタンへの兵器供給国の筆頭である中国は、自国の兵器システムが実戦でどの程度の性能を示したか、今後どのような性能を発揮しそうかを注視している可能性が高い。

軍事大国として台頭中の中国だが、本格的な戦争はもう40年あまり経験していない。しかし習近平(シーチンピン)国家主席の下、中国は急ピッチで軍の近代化を進め、高性能兵器と最新鋭技術の開発にリソースを投じてきた。

近代化推進の動きは、中国政府が「鉄の兄弟」と長年称賛してきたパキスタンにも波及しつつある。

ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)のデータによると、この5年間、中国はパキスタンの輸入兵器の81%を供給した。

中国の輸出品には先進的な戦闘機やミサイル、レーダー、防空システムが含まれており、インドとの軍事紛争で大きな役割を果たす見込みだと専門家は指摘する。パキスタン製の兵器の中にも、中国企業と共同開発したり、中国の技術や専門知識を駆使して製造されたりしたものがある。

ロンドンに拠点を置くシンクタンク「アジア太平洋財団」の国際安全保障ディレクター、サジャン・ゴヘル氏は「このためインドとパキスタンの交戦はすべて、中国の軍事輸出品にとって事実上の実験環境になる」との見方を示した。

中国、パキスタン両国は陸海空のますます高度な合同演習も実施しており、戦闘シミュレーションに加え、要員交換訓練まで行っている。

米国に拠点を置く「民主主義防衛財団」のクレイグ・シングルトン氏は「中国による長年のパキスタン支援は、兵器や訓練、現在ではAI(人工知能)を活用した目標標定を通じ、戦術バランスを静かに変えてきた」と指摘する。

「これはもはや単なる2国間衝突ではない。中国の防衛輸出がいかに地域の抑止力を再編させているかをうかがわせる一例だ」(シングルトン氏)

カシミール地方での観光客虐殺事件をきっかけに両国の緊張が高まったことで、こうした変化が顕在化した。中国が米国の影響力に挑む存在として台頭するという、より広範な地政学的再編も浮き彫りになっている。

インドとパキスタンは1947年の英国からの独立以降、カシミール地方を巡り3度戦火を交えた。冷戦最盛期には、ソ連がインド、米国と中国がパキスタンを支援。核を保有する印パ両国のこうした長年の紛争に、新時代の大国間競争が影を落としている。

伝統的に非同盟政策を掲げるインドだが、歴代米政権が中国への戦略的対抗軸として台頭するインドに秋波を送る中、米国への接近を深めている。インドは米国のほかフランス、イスラエルを含む米同盟国からの兵器購入を拡大する一方、ロシア製兵器への依存を着実に減らしてきた。

これに対し、パキスタンは中国との関係を強化。中国の「全天候型戦略パートナー」となり、習氏肝いりの「一帯一路」構想の重要参加国に名を連ねる。SIPRIのデータによると、2000年代後半には米中両国がそれぞれパキスタンの兵器輸入の約3分の1を占めていたが、近年のパキスタンは米国兵器の購入を停止し、中国兵器の割合を増やしている状況だ。

SIPRIの上級研究員であるシーモン・ウェゼマン氏によると、中国は1960年代半ばからパキスタンへの重要な兵器供給国になっていたものの、現在の優位性は米国が残した空白を埋めたことによる面が大きい。

米国は10年あまり前、「テロリスト」との戦いでパキスタンの貢献が不十分だと非難。ウェゼマン氏によると、これがパキスタンの核開発や民主化不足を巡る米政府のかねての不満に拍車を掛けた。

「(米国は)最終的に地域の代替パートナーとしてインドを選んだ。この結果、パキスタンへの米国兵器の供給は多かれ少なかれ断たれた」とウェゼマン氏。「一方、中国兵器の供給は格段に増加した。中国はこの機会を利用して、パキスタンの唯一の盟友にして同盟国との立場を打ち出した」

中国はインドのパキスタン攻撃に遺憾の意を示し、平静と自制を呼び掛けている。今回の衝突に先立ち、中国の王毅(ワンイー)外相はパキスタンを「鉄の友」と呼んで支持を表明していた。



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