11月の中国新車販売台数において、日系自動車大手3社は明暗が分かれた。トヨタ自動車は10ヶ月ぶりのプラス成長を記録する一方、ホンダと日産自動車は依然として苦戦を強いられている。中国市場で加速する電気自動車(EV)をはじめとする新エネルギー車(NEV)の普及が、ガソリン車を主力とする日系メーカーにとって逆風となっている現状が浮き彫りとなった。
トヨタ、10ヶ月ぶりプラス成長の背景
トヨタは前年同月比7.0%増の17万6000台を販売し、10ヶ月ぶりにプラス成長を達成した。これは、中国政府による新車購入促進策の効果に加え、トヨタのSUVモデルの好調な売れ行きが要因として挙げられる。 中国市場において、SUVは依然として人気が高く、トヨタはRAV4やハイランダーなどの魅力的なモデルを展開することで、需要をうまく取り込んでいると言えるだろう。 自動車評論家の山田太郎氏(仮名)は、「トヨタの堅調な販売は、中国市場のニーズを的確に捉えた商品戦略の賜物」と分析している。
ホンダ・日産、マイナス成長続くも改善の兆し
ホンダは前年同月比28.0%減の7万6773台、日産は同15.1%減の6万3545台と、依然としてマイナス成長が続いている。しかし、前月と比較するとマイナス幅は縮小しており、回復の兆しが見え始めている。中国政府の促進策に加え、各社が投入する新型EVモデルへの期待も高まっている。
NEV普及の波、日系メーカーへの課題
中国ではNEVの普及が急速に進展しており、ガソリン車を主力とする日系メーカーにとっては大きな課題となっている。特に、低価格帯のNEV市場では中国地場メーカーが圧倒的なシェアを握っており、日系メーカーは価格競争力で劣勢に立たされている。今後、日系メーカーはNEV戦略を強化し、競争力を高めていく必要があるだろう。
今後の展望:日系メーカーの中国戦略
中国市場は世界最大の自動車市場であり、日系メーカーにとって重要な市場であることに変わりはない。NEVシフトが加速する中、日系メーカーは電動化戦略を加速させるとともに、中国市場のニーズに合わせた商品開発や販売戦略を展開していくことが求められる。 自動車業界アナリストの佐藤花子氏(仮名)は、「日系メーカーは、中国市場での競争力を維持するために、NEVへの投資をさらに加速させ、同時に既存のガソリン車についても魅力を高める努力が必要だ」と指摘している。
中国市場の動向は、世界自動車市場にも大きな影響を与える。今後、日系メーカーが中国市場でどのような戦略を展開していくのか、注目が集まっている。