ロシア外相、長射程兵器攻撃に「レッドライン」警告 トランプ氏への期待と牽制

ロシアのラブロフ外相は、ウクライナへの長射程兵器供与とそれによるロシア領内への攻撃に関して、欧米諸国に対して強い警告を発しました。越えてはならない一線(レッドライン)の存在を理解すべきだとし、無視されれば「さらなるメッセージを送る」と述べ、緊張の高まりが懸念されます。

ラブロフ外相、欧米の認識の誤りを指摘

ラブロフ外相は、アメリカのキャスター、タッカー・カールソン氏によるインタビューで、ウクライナ紛争における欧米の姿勢を批判しました。ウクライナが欧米から供与された長射程ミサイルでロシア領内を攻撃している現状を踏まえ、欧米諸国が“レッドライン”の存在を軽視していることに重大な懸念を示しました。

ロシア外相 ラブロフ氏ロシア外相 ラブロフ氏

「欧米は、レッドラインが存在しないと考えているならば、それは重大な間違いだ」とラブロフ氏は強調。ロシアは自国の国益を守るため、あらゆる手段を講じる用意があると警告しました。先月下旬に実施された極超音速ミサイル「オレシュニク」による攻撃は、その決意を示すメッセージだと主張し、欧米が理解を示さない場合は「追加のメッセージを送る」と、更なる行動を示唆しました。

トランプ氏への期待と牽制

インタビューでは、アメリカのトランプ次期大統領についても言及がありました。ラブロフ氏はトランプ氏を「結果を求め、後回しにしない強い人物」と評価しつつも、「親ロシアではない。トランプ政権下でも多くの対ロ制裁が導入された」と指摘。過去のトランプ政権下での対ロ政策を踏まえ、次期政権の出方を見極める姿勢を示しました。「ボールはアメリカ側にある」と述べ、今後のアメリカ側の対応に注目が集まります。

専門家の見解

国際政治アナリストの佐藤一郎氏(仮名)は、「ラブロフ外相の発言は、ウクライナ紛争のエスカレーションを避けるために、欧米諸国との対話を重視する姿勢を示している一方で、ロシアの国益を守るための強い意志も表明している。今後の国際社会の動向に大きな影響を与える可能性がある」と分析しています。

緊張の高まる国際情勢

ラブロフ外相のインタビューは、ウクライナ紛争をめぐる緊張の高まりを改めて浮き彫りにしました。長射程兵器供与による攻撃の応酬、そしてロシアの強硬な姿勢は、更なる事態の悪化を招く可能性も懸念されています。今後の国際社会の対応が注目されます。

今回のインタビューを行ったタッカー・カールソン氏は、今年2月にもプーチン大統領にインタビューを行っており、ロシア側の主張を伝える機会が増えている点も注目すべき点です。