日本の教育現場では、数学の公式や解法を暗記させる「暗記数学」が主流となっています。しかし、急速に変化する現代社会を生き抜くためには、自ら考え、判断する力が不可欠です。本記事では、暗記数学の現状と課題、そして「考える力」を育むための教育の在り方について探ります。
暗記数学の現状
ドルトン東京学園中等部・高等部では、「マイナス×マイナス=プラス」の理由を3時間かけて学ぶ授業が行われています。公式を暗記するだけでなく、その背後にある論理を理解させることが重要だと考えているからです。
ドルトン東京学園の数学の授業風景
一方で、多くの学校では、解法パターンを暗記する学習方法が中心となっています。これは、大学受験において短時間で高得点を取ることが求められるためです。効率性を重視するあまり、考えるプロセスが軽視されている現状があります。文部科学省も、現代社会では「自ら学び、自ら考え、主体的に判断する力」が必要だと提言しているにもかかわらず、現状はかけ離れていると言えるでしょう。
暗記数学の課題
暗記数学に偏重した学習は、生徒の「考える力」を育むことを阻害する可能性があります。公式や解法を理解せずに暗記するだけでは、応用力や問題解決能力が身につきません。また、数学に対する興味や関心を失わせる原因にもなりかねません。
ある私立高校の数学教師は、「受験が暗記数学を助長している」と指摘しています。大学入試では、限られた時間内で多くの問題を解く必要があり、暗記した知識を迅速に適用することが有利になるためです。
「考える力」を育むために
では、どうすれば「考える力」を育むことができるのでしょうか?
授業での工夫
ドルトン東京学園の例のように、公式の根拠や証明を学ぶ時間を設けることが重要です。また、生徒同士で議論したり、考えを共有する場を設けることで、多角的な視点や思考力を養うことができます。さらに、日常生活と関連づけた問題を取り上げることで、数学の有用性を実感させ、学習意欲を高めることができます。
家庭学習のポイント
家庭学習では、公式や解法を丸暗記するのではなく、なぜそうなるのかを理解することに重点を置くべきです。問題を解く際には、様々なアプローチを試み、最適な解法を見つける練習をすることが重要です。また、数学に関する書籍やウェブサイトを活用し、自主的に学ぶ習慣を身につけることも大切です。
まとめ
暗記数学からの脱却は、日本の数学教育における喫緊の課題です。生徒たちが「考える力」を身につけ、変化の激しい社会を生き抜くために、教育現場と家庭が連携し、学習環境の改善に取り組む必要があるでしょう。