ウクライナ東部ポクロフスクでは、ロシア軍の猛攻が続いています。ドローン映像は、老朽化した装甲車が砲撃を受け、戦車がドローン攻撃で阻止される様子を克明に捉えています。しかし、ロシア兵は執拗に前進を続け、ウクライナ側は苦戦を強いられています。
ドローンが最前線で奮闘、しかし兵員不足は深刻
ウクライナ軍は、数的劣勢と損耗の大きさでロシアに対抗できていません。西側当局者によれば、前線では毎日最大1200人が死傷しているとのこと。ポクロフスク周辺の兵士たちは、ここ数週間でウクライナ側の深刻な兵員不足が顕著になっているとCNNに語っています。
ドローン部隊の指揮官イースト(コールサイン)は、「状況は危機的だ」と述べ、歩兵不足のためドローンがその任務を担わざるを得ない現状を明かしました。脆弱な地域へのロシア軍の侵入を防ぎきれないケースが増えているのも、この兵員不足が原因です。
ウクライナ兵がドローンを操作している様子
兵士たちの証言:絶望と未来への不安
ポクロフスクの兵士たちは、兵員不足によってロシア軍に大きな突破口を与えてしまう可能性を危惧しています。歩兵の不足により、ドローンを攻撃に投入せざるを得ない状況が続いているのです。
10月にロシア軍が占領したセリダブの防衛拠点には、わずか6つのウクライナ陣地しかありませんでした。これは、作戦に関わった兵士がわずか60人程度だったことを示唆しています。彼らはすぐに包囲され、多くの死傷者を出しながら撤退を余儀なくされました。
偵察狙撃兵のカシェイ(コールサイン)は、「敵が前進しているのは、現場で守備に当たる人員がいないためだ」と語り、前線の現状に絶望感を露わにしました。
指揮系統のミス、新兵の投入:混乱深まる戦場
ドローン部隊が撮影した映像には、過去数週間の撤退の様子が記録されています。そこには、損耗と混乱の深刻さが如実に映し出されています。1ヶ月前、ウクライナ支配下にあるという誤った情報を受けてセリダブの工場に入ったウクライナ兵3人が、ロシア兵に射殺される瞬間も捉えられています。
兵士の補充も大きな問題です。セリダブの防衛には300人の新兵が投入されましたが、彼らは直接前線に送られ、塹壕で基礎訓練を受けることになっています。
ウクライナ東部の戦場の様子
率直な証言:ウクライナ兵たちの苦悩
ウクライナ兵が指揮官を批判したり、前線の厳しい状況を報道陣に伝えることは稀です。しかし、ポクロフスク周辺の兵士たちは、ロシアの攻勢の現状とこの地域の将来について、驚くほど率直な分析を明らかにしました。
コシア(コールサイン)という別の偵察狙撃兵は、「人手が足りない。私は独りきりだ。疲れ切っている」と語り、国民の意識と現実のギャップに苦悩を滲ませました。
未来への懸念:和平交渉への期待と不安
ウクライナ兵たちは、来るトランプ次期米大統領の就任についても不安を抱いています。米軍の次期最高司令官の気分を害さないよう慎重な姿勢を保ちつつも、自分たちの戦闘の行方を心配しています。ある兵士は、「就任式後の1月に和平交渉を行うのでは遅すぎるかもしれない」と懸念を口にしました。
ウクライナ東部戦線は、深刻な兵員不足とドローン頼みの現状が続いています。兵士たちの証言からは、彼らの疲弊と未来への不安が見て取れます。一刻も早い和平実現が望まれます。