くら寿司で拡散された迷惑動画に企業が「厳正な対応」を表明:回転寿司テロの波紋と法的責任

2023年10月中旬、大手回転寿司チェーン「くら寿司」の店舗で発生した迷惑行為の動画がX(旧Twitter)上で瞬く間に拡散され、社会に大きな波紋を広げています。これに対し、くら寿司は公式サイトで「厳正な対応をしていく予定です」と強い決意を表明。この事態は、近年問題視されている「寿司テロ」の新たな事例として、再度社会の注目を集めています。

くら寿司を舞台にした迷惑行為の詳細とSNSでの拡散

拡散された動画には、制服らしき服装の女子生徒と見られる女性が、回転レーン上の寿司を素手で触れた後、再びレーンに戻す様子が映し出されていました。さらに、席に備え付けられている醤油差しから直接、自身の口に流し込むという不適切な行為も確認されています。この迷惑動画は、インスタグラムのストーリーズだけでなく、若年層に人気のSNS「BeReal」にも投稿され、BeRealの位置情報公開機能が店舗特定に繋がったとされています。これらの行為は、ネットリテラシーの低さを浮き彫りにし、さらに同じ女性が別のラーメン店でも同様の迷惑行為に及ぶ動画が拡散されるなど、事態は深刻化しています。

くら寿司の迅速な対応と法的措置への言及

くら寿司は、迷惑行為の発生を受け、直ちに公式サイトで「山形南館店における迷惑行為につきまして」と題した文書を公開しました。文書では、問題の店舗で提供されていた商品は全て入れ替え、備品もこれまで通り客の入れ替わりごとに交換・消毒を行ったことを報告。最も重要な点として、「実行者についてはすでに特定しており、地元警察に相談しながら対応を進めてまいります」と明言し、法的措置も視野に入れた厳正な対応を辞さない姿勢を示しました。これは、飲食店の信頼性と安全を守る上で不可欠な、企業としての断固たる意志の表れと言えるでしょう。

公衆の反応と「寿司テロ」問題の再燃

この迷惑動画に対し、インターネット上では「こういうバカっていなくならないんだよね」「何が楽しいの?の一言に尽きます」といった怒りや呆れの声が多数寄せられました。特に目立つのは、「請求取り下げは辞めましょう」「特定してちゃんと賠償請求するべき。若いからで済まされる事じゃない」など、厳格な法的責任を求める意見です。これは2023年1月末に発生した「スシロー」での醤油差し舐め回し動画事件を想起させるものです。当時スシローは実行者の少年に約6700万円の損害賠償を求めて提訴しましたが、同年7月に訴えを取り下げています。この過去の事例から、今回は「未成年だから」という理由で済ませず、今後の迷惑行為防止のためにも厳しい対応をすべきだという強い社会的要請が上がっています。

回転寿司チェーン「くら寿司」店舗の外観回転寿司チェーン「くら寿司」店舗の外観

まとめ:社会に求められる責任ある行動と企業の毅然とした姿勢

今回のくら寿司での迷惑行為は、回転寿司業界が直面する「寿司テロ」という深刻な問題が依然として存在し続けることを改めて浮き彫りにしました。飲食店の衛生と信頼を揺るがす行為は決して許されるものではなく、企業側が毅然とした態度で臨むことは、安全な食環境を守る上で極めて重要です。同時に、インターネットを通じた情報の拡散がもたらす影響と、それに対する個人の責任の重さを、社会全体が再認識するきっかけとなるでしょう。くら寿司が今後どのような対応を進めるのか、その動向が注目されています。


参考文献