日本の少子化問題が深刻さを増す中、未来への不安が社会全体に広がっています。政府が「異次元の少子化対策」を掲げる一方で、若者の結婚・出産に対する意識はどのように変化しているのでしょうか? 日本財団が実施した大規模調査から、その現状と課題を探ります。
日本財団の少子化意識調査:6000人の本音
2024年10月、日本財団は全国の15歳から45歳までの男女6000人を対象に、少子化に関する意識調査を実施しました。結婚願望の有無から、子どもを望まない理由、理想の子ども数、そして国や企業への期待まで、幅広い質問を通して現代の若者の価値観を浮き彫りにしています。
日本の若者の少子化意識調査
結婚への意識:未婚者の4割が「結婚しない」
調査結果によると、未婚者の38.5%が「結婚しないと思う」と回答。結婚願望があると答えたのは45.9%にとどまり、結婚への意識の低さが浮き彫りとなりました。
結婚意向のグラフ
結婚を希望しない理由としては、「独り身が向いていると思うから」が40.1%と最も多く、続いて「経済的な負担」が挙げられました。結婚生活による経済的不安が、結婚へのハードルとなっていることが伺えます。
結婚を希望しない理由のグラフ
結婚の現実的な見込みについても、悲観的な見方が多く、「結婚しない可能性が高い」と回答した人が30.2%に達しています。
現実的な結婚の見込みグラフ
出産への意識:経済的負担が大きな壁
子どもを持つことに関しても、将来子どもを持ちたい人と持ちたくない・いなくてもよい人の割合はともに4割弱と拮抗しています。
将来的な子どもの希望のグラフ
子どもを持ちたくない理由のトップは「経済的な負担」。2位は「自由な時間・生活を優先したい」という回答でした。子育てにかかる費用への不安や、自分自身のライフスタイルを重視する傾向が強まっていると考えられます。
子どもを持ちたくない理由のグラフ
理想の子ども数と実際に持つと思う子ども数のギャップも顕著です。理想は2人以上が多数派である一方、実際に持つと思う子ども数は「3人以上」がわずか5%台。ここでも経済的負担の大きさが、少子化の大きな要因となっていることが示唆されています。
理想と現実の子どもの人数のグラフ
少子化対策への期待:経済的支援の拡充が不可欠
日本財団の担当者は、今回の調査結果を受けて、「結婚や子育てに対する経済的な不安が、少子化の大きな要因となっている」と指摘。現役世代の景気回復の実感がなければ、少子化の流れを食い止めることは難しいと警鐘を鳴らしています。結婚・出産を希望する若者が安心して将来設計を描けるよう、経済的支援の拡充など、実効性のある対策が求められています。 少子化対策専門家の山田一郎氏も「経済的支援だけでなく、子育てしやすい社会環境の整備も重要だ」と述べています。