韓国で尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が宣言した「非常戒厳令」を巡る混乱が、思わぬところに波紋を広げている。大統領の母校である名門私立高校、沖岩高校が生徒への嫌がらせ対策として、制服着用を一時的に免除するという異例の対応を取ったのだ。
非常戒厳令の首謀者?尹大統領の母校に批判集中
尹大統領は12月3日に非常戒厳令を宣言。この宣言に関与したとされる人物の中に、沖岩高校出身者が複数含まれていることが明らかになり、学校への批判が集中している。逮捕された金龍顕(キム・ヨンヒョン)前国防相は尹大統領の1年先輩、辞任に追い込まれた李祥敏(イ・サンミン)前行政安全相は4年後輩にあたる。さらに、主要政治家の逮捕を命じた疑いのある呂寅兄(ヨ・インヒョン)前防諜司令官も同校の卒業生だ。
韓国の尹錫悦大統領らの母校である沖岩高校
生徒への嫌がらせ相次ぎ、制服着用免除へ
非常戒厳令宣言後、沖岩高校の生徒たちは、街中で心無い言葉を浴びせられたり、卵を投げつけられるなどの嫌がらせを受けるようになった。ある生徒は中央日報の取材に対し、「制服を着ているだけで標的にされる」と訴え、被害の深刻さを物語っている。学校には苦情の電話も殺到しており、事態を重く見た学校側は、生徒を守るために制服着用を一時的に免除することを決定した。
制服着用免除は2月まで継続 – 保護者からも不安の声
制服着用免除の期間は、9日から終業式の2月6日まで。冬休み期間を含む長期にわたる措置となっている。生徒たちは私服で登校できるようになったものの、不安は完全に払拭されていない。保護者からも「子供たちの安全が心配」といった声が上がっており、事態の早期収束が望まれている。
学校理事長も苦言「恥ずかしい卒業生」
沖岩高校理事長も、今回の騒動に心を痛めている。理事長は自身のFacebookで、「沖岩の恥ずかしい卒業生」と尹大統領らを批判し、事態の収拾を図ろうとしている。名門校として知られる沖岩高校にとって、今回の出来事は大きな痛手となっていることは間違いない。
今後の動向に注目
非常戒厳令を巡る混乱は、韓国社会全体に大きな影を落としている。沖岩高校の制服着用免除は、その混乱がいかに深刻なものであるかを示す象徴的な出来事と言えるだろう。今後の動向に注目が集まっている。
韓国の政情不安、教育現場への影響、そして沖岩高校の生徒たちの未来。今後の展開から目が離せない。