韓国大統領 出国禁止措置で波紋:辞任要求と弾劾訴追の行方

韓国政局が大きく揺れている。汚職捜査担当の主任検事の要請を受け、法務当局は尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の出国を禁止した。非常戒厳令の発令を巡り、内乱容疑などで捜査が進められる中、野党は尹大統領と与党の動きを「クーデター」と批判、辞任要求を強めている。今後の政局はどうなるのか、国民の不安は高まっている。

出国禁止と辞任拒否:混迷深まる韓国政局

韓国大統領府韓国大統領府

尹大統領への出国禁止措置は、政権高官数人も対象となっている。発端となったのは、3日夜に突如発令された非常戒厳令だ。この衝撃的な決定に対し、野党は即座に弾劾訴追案を提出したが、7日の国会で否決された。与党「国民の力」は、尹大統領が辞任するまで一切の国務に関与しないと発表し、韓悳洙(ハン・ドクス)首相が国政を担うとした。

この事態に、最大野党「共に民主党」は猛反発。朴贊大(パク・チャンデ)院内代表は与党の決定を「違憲のクーデター」と非難、金民錫(キム・ミンソク)最高委員も、与党代表に決定権はないと指摘した。 韓国紙コリア・ヘラルドによると、金氏は首相と与党による大統領権限の共同行使は違憲だと主張している。

国民の間では、誰が国を率いているのか不明瞭だとする声が広がり、不安が高まっている。国防省は、大統領が軍の指揮権を保持していると発表したが、この状況が更に混乱に拍車をかけている。明知大学のシン・ユル教授(政治学)は、大統領が考えを変えればいつでも国政に復帰できる可能性を指摘し、懸念を示した。

毎週土曜日に弾劾投票へ:野党の攻勢と大統領の謝罪

非常戒厳令の発令は「内乱行為」に当たると主張する野党6党は、尹大統領の弾劾を求めている。ソウルでは数万人規模の抗議集会が開かれ、辞任と弾劾を求める声が上がった。沈黙を守っていた尹大統領は7日朝、国民への謝罪を表明したが、辞任には言及しなかった。同日夜、弾劾訴追案は国会で否決されたものの、野党は毎週土曜日に弾劾投票を実施すると宣言し、攻勢を強めている。

「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表は、クリスマスと年末までに国を正常な状態に戻すと支持者に約束した。9日の記者会見では、尹大統領の行動が国と経済を「破壊している」と批判し、改めて辞任を要求した。 この辞任要求は、国民の不安を反映していると言えるだろう。

韓国政局の行方:混迷から抜け出せるか

尹大統領の出国禁止、野党の弾劾への強い姿勢、そして国民の不安。韓国政局は混迷を深めている。今後の展開は予断を許さない状況だ。 尹大統領は辞任に応じるのか、野党の弾劾訴追は成功するのか、国民生活への影響はどうなるのか。 韓国の未来を占う重要な局面を迎えている。