韓国半導体産業は今、まさに崖っぷちに立たされています。メモリー市場での成功に安住し、エコシステム全体の強化を怠ってきたツケが、米中対立によるサプライチェーン再編という嵐の中で露呈しているのです。このままでは「死に至る」と警鐘を鳴らす専門家もいるほど、深刻な状況です。10ヶ月に渡る徹底的な分析を経て、韓国工学翰林院半導体特別委員会がついに18日、起死回生の戦略を発表します。果たして、韓国半導体は窮地を脱することができるのでしょうか?
投資、研究開発、人材、システム半導体:4つの領域での戦略
韓国工学翰林院半導体特別委員会は、ソウル新羅ホテルにて「韓国半導体このままでは死ぬ…こうしなければならない」と題した発表会を開催します。SKハイニックス社長やソウル大学教授など、産学のそうそうたるメンバーが集結した同委員会は、投資、研究開発(R&D)、人材、システム半導体の4つの領域に焦点を当て、韓国半導体産業の未来を照らす戦略を提言します。政治的混乱の中にあっても、半導体産業の危機的状況を国民に広く共有し、一刻も早く対策を講じる必要があるという強い危機感が、今回の発表会開催の背景にあります。
韓国の半導体工場
メモリー市場の成功が生んだ落とし穴
かつてメモリー市場で世界を席巻した韓国半導体産業。巨額の投資によるチキンゲームを制し、20年以上にわたり市場を支配してきました。しかし、この成功体験が、エコシステム全体の強化を怠らせる落とし穴となったのです。素材・部品・装置(素部装)分野の育成を疎かにしてきた結果、グローバルサプライチェーンの再編という荒波に脆さを露呈することになってしまいました。
世界各国との熾烈な競争
米国、中国、日本、台湾などは、政府主導の大胆な支援策を打ち出し、生産拠点の確保に邁進しています。一方、韓国はというと、施設投資の遅れが目立ち、競争力の低下が懸念されています。半導体産業は巨額の設備投資が不可欠であり、タイミングを逃せば先行者利益を奪われ、投資の好循環から取り残されてしまいます。特別委員会は、このままでは悪循環に陥るという危機感を強く抱いているのです。
半導体チップ
政府支援と人材育成が鍵
特別委員会は、政府による直接的な補助金や投資税額控除など、競争国に匹敵する大胆な支援策が必要だと主張します。大企業による大規模な設備投資を促進し、素部装企業の自立を促すことが重要です。さらに、継続的なR&D投資を通じて、圧倒的な技術優位性を確保することも不可欠です。
深刻な人材不足と頭脳流出も大きな課題です。2031年には約5万6000人の人材不足が予測されています。質の高い人材の育成はもちろんのこと、グローバル人材の誘致にも力を入れる必要があるでしょう。韓国半導体産業協会もこの問題の深刻性を訴えています。
システム半導体の未来
世界シェアわずか3%のシステム半導体分野。巻き返しを図るためには、ファブレス(設計専門企業)とファウンドリ(委託生産企業)のエコシステムを共に強化していくことが重要です。「ファブレスの成長には、ファウンドリの成長が不可欠」と専門家は指摘します。
半導体ウェハー
国会との連携が不可欠
今回の発表会には、半導体特別法を発議した国会議員も出席予定です。国会と政府が一体となり、迅速かつ効果的な対策を講じることが、韓国半導体産業の未来を左右すると言っても過言ではありません。