ドイツ政局が大きく揺れ動いています。ショルツ首相率いる連立政権が崩壊し、2月23日に総選挙が実施されることが決定しました。国民の関心は、次期首相の座を誰が射止めるのか、そしてドイツの政治がどのような方向へと進むのかに注がれています。 支持率トップのCDUメルツ党首に期待が高まる一方で、連立交渉の行方は不透明さを増しています。今後のドイツの未来を占う重要な選挙となりそうです。
ショルツ政権崩壊、混迷極めるドイツ政局
2024年11月、ショルツ首相率いる連立政権は、自由民主党の離脱により崩壊しました。ショルツ首相は信任決議案を提出するも否決される見通しで、シュタインマイヤー大統領による下院解散、そして総選挙へと至る異例の事態となっています。
alt ドイツ連邦議会で演説する最大野党・キリスト教民主同盟(CDU)のメルツ党首(右)とショルツ首相
このような政治の混乱は、国民の不安を増大させています。「政治の安定を取り戻してほしい」「経済対策を最優先してほしい」といった声が各地で聞かれ、国民の政治への関心はかつてないほど高まっていると言えるでしょう。 今回の総選挙は、ドイツの未来を左右する重要な選挙となることは間違いありません。
支持率トップCDU、メルツ党首の戦略とは
世論調査では、メルケル前首相が率いていたCDU(キリスト教民主同盟)が支持率トップを維持しています。党首のメルツ氏は、社会福祉の削減や難民規制の強化といった保守的な政策を掲げ、メルケル路線からの転換を図ろうとしています。
ドイツの著名な政治学者、ハンス・ミュラー教授(仮名)は、「メルツ氏の政策は、一部の国民からの強い支持を得ている一方で、リベラル派からの反発も大きい。今後の政権運営において、国民の融和を図るためのバランス感覚が求められるだろう」と指摘しています。
連立交渉の行方、CDUの選択は?
CDUが単独過半数を獲得するのは難しいと見られており、連立政権の樹立は避けられない状況です。メルツ氏は極右政党AfDとの連立を否定しており、選択肢は社民党か緑の党に絞られます。
緑の党とは外交・安全保障政策で共通点が多い一方、他の政策では対立が見られます。また、CDUの姉妹政党CSUの党首は緑の党との連立に反対しており、交渉は難航が予想されます。
alt ドイツの選挙ポスター
一方、社民党との連立は「大連立」となり、政治の安定化につながる可能性があります。しかし、CDUはショルツ首相を厳しく批判してきた経緯があり、交渉は容易ではありません。 「ショルツ氏なしの社民党」であれば連立の可能性もあるとの見方もありますが、最終的な判断は選挙結果次第となるでしょう。
ドイツの未来を占う決戦、その行方は
前回の総選挙では、CDUのラシェット党首(当時)が災害現場での不適切な言動により支持率を落とし、社民党が逆転勝利を収めました。今回の選挙でも、予期せぬ出来事が選挙結果を左右する可能性があります。
ドイツ国民は、どの政党に未来を託すのか。メルケル路線からの転換となるのか、それとも継続路線となるのか。2月23日の総選挙は、ドイツの今後を占う重要な分岐点となるでしょう。