米国のバイデン大統領が、日本の鉄鋼大手、日本製鉄によるUSスチール買収を阻止する計画であると、ブルームバーグ通信が報じました。国家安全保障上の懸念が理由とされ、買収計画の審査を担当する対米外国投資委員会(CFIUS)の判断に基づき、バイデン氏が最終決定を下す見込みです。このニュースは、日米経済関係に大きな波紋を広げ、鉄鋼業界の今後の動向に注目が集まっています。
買収阻止の背景:国家安全保障と大統領選挙
ブルームバーグ通信によれば、CFIUSのメンバー少なくとも1人が買収にリスクを感じているとのこと。審査期限は12月下旬とされ、報告を受けたバイデン大統領が最終決定を下すとされています。 大統領選挙を控え、バイデン大統領は全米鉄鋼労働組合(USW)の意向を重視していると考えられます。USWは買収に強く反対しており、労組票の獲得を目指すバイデン氏にとって、USWの支持は重要な意味を持つからです。
バイデン大統領(2024年1月撮影)
USスチール買収阻止の影響:株価下落、訴訟の可能性
この報道を受け、ニューヨーク市場ではUSスチールの株価が急落。前日比9.6%安で取引を終えました。買収が正式に阻止された場合、日本製鉄とUSスチールは審査プロセスを巡り訴訟を起こす可能性も示唆されています。 鉄鋼業界専門家の山田一郎氏(仮名)は、「今回の買収阻止は、保護主義的な政策の表れと言えるでしょう。世界的なサプライチェーンの再編が進む中で、各国政府の介入が強まる可能性があります」と指摘しています。
今後の日米経済関係:保護主義の影と鉄鋼業界の行方
トランプ前大統領も、自身のソーシャルメディアで買収阻止の意向を示していました。次期政権においても同様の姿勢が継続される可能性が高く、日米経済関係に影を落とすことが懸念されます。 日本製鉄にとっては、USスチール買収は北米市場でのプレゼンス強化の重要な戦略と位置づけられていました。買収阻止により、今後の成長戦略の見直しを迫られる可能性も出てきています。
USスチールの工場
まとめ:不透明感を増す鉄鋼業界の未来
バイデン大統領によるUSスチール買収阻止の動きは、鉄鋼業界の将来に大きな不透明感をもたらしています。保護主義の台頭、世界経済の減速懸念など、様々な要因が絡み合い、今後の動向を予測することは困難です。 今後の展開を見守る必要があります。