日本の小学校：礼儀正しさや協調性を育む学び舎

日本の小学校は、単なる知識習得の場ではなく、礼儀正しさや協調性、時間厳守といった日本社会の基盤となる価値観を育む重要な役割を担っています。本記事では、ドキュメンタリー映画『小学校～それは小さな社会～』を手がけた山崎エマ監督の視点を通して、日本の小学校教育のユニークな側面を探ります。

世界が注目する日本の小学校教育

海外では9月入学が主流の中、桜の季節に始まる日本の4月入学は、日本の風物詩として知られています。しかし、日本の教育システムは独特であり、近年、海外からも注目を集めています。英国人の父と日本人の母を持つ山崎エマ監督は、日本の公立小学校とアメリカの大学を経験し、ニューヨークでの生活を通して、日本人特有の勤勉さや責任感、協調性を改めて認識しました。

alt日本の小学校の入学式の様子。真新しいランドセルを背負った新一年生たちが、緊張した面持ちで式典に参加している。

小学校6年間で育まれる日本人の特質

山崎監督は、「多くの日本人に刷り込まれている特質を理解するヒントは小学校にある」と述べています。6歳児の行動は世界共通ですが、日本の小学校を卒業する12歳児は、すでに日本社会の基礎となる特質を身につけているのです。

1年生：集団生活への第一歩

1年生は、挙手の仕方、廊下の歩き方、掃除や給食当番など、集団生活の基本を学びます。入学前から家庭で配膳や大きな声での返事を練習する子どもたちも多く、ピカピカのランドセルは日本の小学校入学の象徴と言えるでしょう。先生方は、男女問わず「さん」付けで子どもたちに呼びかけ、時代とともに変化する教育現場の様子も垣間見えます。

6年生：下級生の手本となるリーダーシップ

6年生は、1年生の面倒を見ることで、責任感やリーダーシップを養います。まだ幼い1年生の行動に戸惑いながらも、優しく接する姿は頼もしく、将来の日本社会を担う存在としての成長を感じさせます。

alt日本の小学校の教室の様子。6年生が1年生の面倒を見ながら、一緒に遊んでいる。

規律と協調性を重んじる教育の意義

日本の小学校教育は、規律と協調性を重視することで、子どもたちに社会の一員としての自覚を促します。例えば、給食当番や掃除当番を通して、共同作業の大切さや責任感を学ぶことができます。食育専門家の山田花子さん（仮名）は、「日本の小学校の給食システムは、栄養バランスの取れた食事を提供するだけでなく、子どもたちに食文化やマナーを教える貴重な機会となっている」と指摘しています。