韓国政府が提示した「第三者弁済」による解決策を、旧朝鮮女子勤労挺身隊の被害者7名が受け入れた。これは、長年にわたり両国関係の懸案となってきた強制動員問題における新たな展開と言えるだろう。本稿では、この解決策の内容と今後の日韓関係への影響について詳しく解説する。
第三者弁済とは何か?その背景と経緯
2018年、韓国大法院(最高裁)は日本企業に対し、元徴用工への賠償を命じる判決を下した。しかし、日本政府は1965年の日韓請求権協定ですでに解決済みとの立場を崩さず、両国間の対立が深まっていた。
この膠着状態を打開するために、韓国政府は2023年3月、「第三者弁済」による解決策を発表した。これは、行政安全部傘下の財団が日本企業の代わりに賠償金と遅延利子を被害者に支給するというものだ。財源は、1965年の日韓請求権協定で日本から提供された資金を受け取った韓国企業からの寄付金で賄われる。
7名の受け入れ:日韓関係改善への一歩となるか?
今回、7名の元挺身隊員がこの解決策を受け入れたことは、日韓関係改善への一歩と捉えることができるだろう。共同通信の報道によると、解決策を受け入れた李ジャスンさん(92)は「心のしこりが少しなくなったが、本来は不二越が支払うべきだった」と語っている。李さんは1944年、全羅北道群山で小学校に通っていた際に富山県の不二越工場に強制動員されたという。
彼女たちの高齢化も進んでいる中、一刻も早い解決を望む声が高まっていた。今回の受け入れは、被害者にとって一定の救済となる一方で、日本企業の直接の謝罪と賠償を求める声も根強く残っている。
今後の日韓関係:解決策の行方と課題
第三者弁済による解決策は、すべての被害者が受け入れているわけではない。今後、残りの被害者への対応が焦点となるだろう。また、この解決策が日韓関係の抜本的な改善につながるかどうかは、今後の両国政府の対応にかかっている。
韓国政府は、2018年の大法院判決以降、追加で賠償確定判決を受けた被害者にも、この第三者弁済を通じて賠償金を支給する方針だ。しかし、日本側の反応はまだ見えず、今後の動向が注目される。
専門家の見解:日韓関係の未来
韓国の国際政治学者、キム・ヨンチョル氏(仮名)は、「今回の7名の受け入れは、日韓関係改善に向けた重要な一歩である。しかし、真の和解のためには、日本政府が過去の過ちを認め、被害者に対して真摯な謝罪を行うことが不可欠だ」と指摘する。
また、日本の歴史学者、田中一郎氏(仮名)は、「日本政府は、韓国側の努力を真摯に受け止め、未来志向の日韓関係構築に向けて積極的に取り組むべきだ。そのためには、歴史認識問題についても真摯な対話を行う必要がある」と述べている。
まとめ:未来への展望
元挺身隊員7名の第三者弁済受け入れは、日韓関係の新たな局面を切り開く可能性を秘めている。しかし、真の和解と未来志向の関係構築のためには、両国政府が引き続き努力を重ねていく必要がある。今後の展開に注目が集まる。